1990年代ロサンゼルスの裏通りで、ギャングたちと関わりながら生きる日本人高校生・J。
煙草、シビック、ギャンブル、危うい交渉。
一見すると、かなり刺激の強い裏社会の物語に見えます。
けれど読み進めるうちに、この作品の面白さは、ただ危険な世界を描くことだけではないのだと感じました。
印象的だったのは、Jが決して無鉄砲に強いわけではないところです。
相手の立場、組織同士の力関係、その場の空気、引くべきタイミング、踏み込むべき瞬間。
それらを冷静に見極めながら、危ない橋を渡っていく。
その観察力と判断力が、物語全体に独特の緊張感を生んでいました。
特に、マイキーの件からグリーンの賭場へ踏み込んでいく流れは、ただの度胸勝負ではなく、会話、金、面子、後ろ盾、勝負勘が絡み合う場面としてとても読み応えがありました。
カードゲームの勝敗以上に、相手の心理を少しずつ崩していく展開が面白かったです。
そして第一章の最後に浮かび上がる「なりたくない自分にならない」という言葉。
この一文によって、Jの生き方がただの享楽や反抗ではなく、彼なりの防衛線であり、人生への向き合い方なのだと伝わってきました。
裏通りの空気、悪友たちとの軽口、危険と日常が隣り合う青春。
その先に、彼がどう東京大学へと繋がっていくのか。
裏通りで培われた観察力や判断力が、どんな形で未来へ結びついていくのか、とても楽しみに読み進めたい作品です。
90年代ロサンゼルスの空気感がすごくよく伝わってくる作品でした。
CoolioやWarren Gといったヒップホップが流れる一方で、バーではMiles DavisやLee Morganなどのジャズがかかっていて、シーンごとに音楽が雰囲気をしっかり作っているのが印象的です。
音楽好きだとニヤッとしてしまう選曲でした。
Jがギャングや裏社会の人間たちと関わりながらも、ただ危険な世界に生きているだけじゃなくて、高校生活や恋愛、友人との軽いやり取りもちゃんと描かれているのが良いバランスだと思います。日常と非日常が自然に混ざっていて読みやすいです。
単なるギャングものというより、90年代LAの街並みや人間関係、そして音楽まで含めて“空気ごと楽しむ”タイプの作品だと感じました。
『裏通りの東大生』というタイトルがこの先どう効いてくるのかも含めて、続きを楽しみに読みたいです。
90年代のLA、裏社会の周縁で生きる日本人高校生J。勉強嫌いで、1週間先の未来にも興味がなかった彼が、なぜ東大を目指すのか——それだけで読む価値がある。
作品中で流れるHIPHOP、80年代・90年代の音楽が私にはすごくツボります。最高です。
90年代LAの空気感と、そこに自然に溶け込む音楽の使い方がとにかく気持ちいい。読んでいると、ページの向こうから煙草の煙とビートが漂ってくるみたいで。
異世界ものが溢れるなかで、異世界でもないのに、異世界以上の転身を遂げていくJのこれからが楽しみでたまらない——そんな作品です。刺さる人には、相当刺さります。
物語の舞台は1990年代後半のアメリカ、ロサンゼルス郊外。
高校生の主人公のJは組織には属してないものの、ギャングがはびこる裏社会の周辺で、巨大組織ブルーの幹部クラスであるキングを後ろ盾に危険な世界を渡り歩いている。
そんなJが借金を踏み倒そうとする男から金を回収する場面から始まり、その後は懐かしいアメリカの風景描写に惹かれながら読み進めました。
頭脳派であるJ の観察力がそのまま物語の緻密な描写となっており、幹部のキングとの悪友的な関係なども含め、小気味よい会話劇が軸となるため、空気感が身近に伝わってきます。
とくに90年代カルチャーの固有名詞が随所に出てきて、個人的にお酒や音楽などのアメリカンカルチャーが好きなこともあり、ワクワクしながら読むことができました。
ギャングの世界には避けられない暴力描写や力関係も見どころで、バイオレンスムービーを観ているかの心地になれる。
なかなかWEB小説では出会えない物語世界に、新鮮な気持ちを味わいました。
まだ第二章まで拝読した感想ではありますが、ぜひ懐かしいアメリカの青春ハードボイルドの物語が放つ、危険で心地よい匂いを嗅いでみてください。