第3話
「やっべえ……」
突如訪れた非日常。そのときめきに抗えず、俺は自ら茨の道を選んでしまった。たった今、その事を後悔している。
帰宅しようとスライムに提案し、人目をしのぎつつ自宅に帰ってみると、俺の家が警察に取り囲まれているではないか。どうやらスライムに誘拐された俺の身元は早くも特定されたらしく、スライムが俺を連れて帰ってくるところを捕まえようという魂胆なのだろう。
しかしこれでは帰ることができない。スライムを助けると決めたということは、自分の自宅と家財諸々を手放してどこか遠くで逃亡生活を送ることと同義だったのだ。
だが、ここは俺も男。まったく気にしない素振りをして
「ああ、俺の家はもう駄目だな!別のところを探そう。なあに、これしきどうってことはないさ、本当だぜ?本当に本当だからな!」
ふう、ポーカーフェイスも楽じゃない。
「えっと、ショックですよね?ごめんなさい、僕のせいで」
ああ、まずい。気を遣われている。
「い、いやそんな事ない。本当に大丈夫だから。」
「でも、顔が引きつってますよ……?」
……バレていた。顔に出ていたらしい。
「ああ……まあ、1つの命を救えたんだからな……どうってことは……あるかもしれないけど、大丈夫だよ。」
スライムは一応納得してくれたようで、
「まあ、あなたが大丈夫と言うなら……」
と言ってから、
「じゃあ、この話は置いといて、これからどうしましょうか?」
と、話を変えてくれた。
……ん?ちょっと待てよ、もしかしてこのスライムはノープランで研究所から脱出してきたのか?
「えっと、まさか何も考えなしに逃げてきたわけじゃないよな?」
「あー、研究所から脱出するまでは考えてたんですけど、その後のことは何も考えてなくって……」
なんてことだ。路頭に迷ってしまった。
「……あ!思いつきましたよ!人間社会にはスラム街?というのがあるんですよね。そこは身分を問わず誰でも住めて、働ける素敵な場所だとか。」
いきなり何を言い出すかと思ったら、スラム街の話をしてきた。だがそのスラム街が俺達と何の関係があるんだ。
「そこに住みましょうよ!」
「……は?」
「え?だから、スラム街に住もうって言ったんですよ。」
次の瞬間、俺の口から驚きとも呆れともつかない声がでたのは言うまでもない。
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