「自分だけが何かを知らない」。これは世の中のありとあらゆるフェイズに通ずる恐怖だと思います。
主人公は電車に乗り、席が空いている場所を見つける。
これ幸いとすぐに腰を下ろすことにするが、直後に周囲の空気がおかしなことに。
まさに「ざわ」と表現するしかないような不穏なもの。彼の行動を見て動揺が生まれていることが明らかになります。
その席には一体どんな意味があるのか? そこに座ってしまったことにより、どんな問題が生じるのか。
この感覚は、「特殊な地域(因習村など)に備わるローカルルール」にも通ずるものがあるし、「海外など異文化の中に秘められている地雷となるような行動」とも読めます。
現代人は色々なものが当たり前に情報化されているため、「知らない」というのはイコールで「自分自身の落ち度」であるように考えやすい。
だからこそ、こういう「みんなが知ってることを自分が知らない」ことが過剰な恐怖に感じられてしまう。
この奇妙な同調圧力とでも言えるような「空気」に触れてしまった主人公。
彼の身にはこれからどんな変化が起こるのか。
オチまで含めて、「現代人の心の中で起こっていること」を象徴的に描き出されているようで、ゾワっとするようなニヤリとさせられるような、強いインパクトを与えてくれます。
複雑すぎる「マナー」の世界とか、とても身につまされる作品でした。
【レビューコンテスト応募】