皆さま、人工降雪機というものをご存じでしょうか。
スキーが趣味の方、スキー場や雪を利用する施設で勤務される方、それらの施設の近くにお住まいの方ならば見たことがあったり、操作したことがあったりするかもしれません。ちなみに自分は見たことありません。人工雪どころか、本物の雪も本格的なものは一度しか見たことありません。
レビューをしている自分のことはさておき、さらに質問です。人工降雪機を世界で初めて実現した方はご存じでしょうか。
自分は……知りませんでした。しかも日本人が初だったなんてことも。
本作は人工降雪機を実現するという偉業を成し遂げた中谷 宇吉郎さんが主人公のお話。
北海道帝国大学に理学部が出来た年に理学部の助教授となった中谷 宇吉郎さんがなみなみならぬ情熱をもって人工雪の研究を進める……。当時最先端のドイツやアメリカさえ実現し得ていない人工雪を、「自然にできるものを、人間がつくれない理屈はない」という信条でもって実現を目指す。
なぜ、人工雪に情熱を持つのでしょうか。
その理由を、生まれ育った石川県での病弱な妹とのエピソードや、研究中に見た夢の内容を交え、深みを持って本作は教えてくれます。
中谷 宇吉郎さんの情熱の理由、タイトルの「雪は天から届く声」の意味を知った時——もちろん、作者様なりの解釈と想像の織り交ざったものですが——、切ない思いでいっぱいになります。
同年代に生まれた川端康成や芥川龍之介などと異なり、あまり知られていない日本の偉人の、熱いドラマです。
未読の方はぜひ、お手にとって読んでみてください。おすすめです。