隣国の婚約者との初顔合わせ! 突如、落下してきた燭台! 〈剛力〉発動! 咄嗟に飛び出したリュティシア! 婚約者に肩が当たったけど仕方ない! 間一髪で王太子夫妻を救った! すごい!
けど、婚約破棄されちゃうんです。婚約者を跳ね飛ばした馬鹿力女って。
表紙をパッと見たときの情報や、こうして抽出したストーリーだけを見ると、ドタバタしたキャラ性とストーリーで押し切るラブコメかな?なんて印象を受けるかもしれません。実際そういう要素も含まれているのですが、それ以上に自分は、しっかりしていて繊細な作品であることを感じました。政治とは~王家とは~の部分や世界観がきちんと描かれ、各キャラの心情等もとても丁寧に大切に描かれているのです。
〈剛力〉持ちのリュティシアは明るくて奔放、かつ聡明で優しい女性。周囲だけでなく自分の心も敏感に察知し向き合い、蔑ろにしません。そんな彼女は読者の私から見てもすごく可愛くて、すぐに好きになりました。フェリスベルトとの距離が近づいたり、すれ違ったりの恋模様は繊細で、二人の様子に私もニコニコしたりキュンとしたり幸せになってほしいと願ったり幸せをお裾分けしてもらったり、心動かされました。
「誰かの幸せを願い願われる」というのは、作中の様々なキャラたちがしていたことでもあります。そして、同時に感じたのが「心の向き」。あるのは善か悪かではなくて、どこに、どのように向けるかなのかな、と。晶化術という世界観からも、こちらの作品は心と関わりが深いのだということを感じました。
愛、心。もうひとつ関わりが深いと感じたのが家族です。こちらの作品はリュティシアとフェリスベルトが夫婦になっていく物語でもあるのですが、エドゥアルドを加えた三人が家族になっていく物語でもあります。そして兄弟や王家といった括りも家族。心理的な絆であったり、社会的義務であったり。メンバーや立場等によって異なってくる、様々な家族の形を見ることができたように思います。
あと言うまでもなく、エドゥアルド可愛い!
作中の「こんなに幸せなことがあるのか、人生には」という一文にグッときました。
心のあり方で世界は変わる。一緒に幸せになっていく、素敵な物語でした。
【レビューコンテスト応募】
人を救ったにもかかわらず、その力を疎まれて婚約破棄された王女リュティシア。新たな婚約者となったのは、先妻を亡くし、六歳の息子エドゥアルドを育てる隣国の王弟フェリスベルトでした。
痛快な導入に惹きつけられて読み進めると、見えてくるのは、この物語がさまざまな愛で編まれていること。
母になりたい王女と、母を待っていた幼い息子。亡き人への想いを抱えながら、少しずつ夫婦になっていく二人。彼らを温かく迎える王弟家の人々。
そして何より印象的だったのは、武力の扱いです。
リュティシアの拳は無敵ですが、その本気が振るわれるのは大切な誰かを守るための最後の手段。
力があるからこそ先に知恵と愛を尽くす。だからこそ、いざ拳にモノを言わせる場面は文句なしに痛快です。
その怪力に「カッコいい!」と目を輝かせるエドゥアルドくんの天使っぷりにも、何度も心を掴まれました。
もちろん甘さもたっぷり。奥手な二人が、じれったくすれ違いながら少しずつ近づいていくのがたまりません。
盛りだくさんの要素が、最後にはすべてひとつにつながる。
痛快で、愛らしく、胸がいっぱいになる物語です。ぜひ結末まで見届けてください。
【レビューコンテスト応募】
まず、タイトルに目を引かれます。引かれますよね? 私は惹かれました。
『拳にモノを言わせますけど、よろしくて?』
拳にモノを言わせるというやや物騒な言葉と、よろしくて? というお嬢様言葉とのギャップが、この物語の魅力の一つを短いながら的確に伝えています。
そしてもう一つ注目すべきは、あらすじ欄の注意書きの一つ。
「性根の腐った人・心底からの悪人・度し難いバカが登場せず、比較的ストレスの少ない仕様です」
本当かな? とドキドキしながら読んでいましたが、本当にそうでした。
拳あり、笑いあり、感動あり、ドキドキあり、キュンキュンありの素晴らしい作品です。
よくある異世界ロマンスと侮るなかれ。みなさんぜひ、読んでみましょう!