―Thursday― †あなたの心†

† signal † シンゴウ †

【カスミside Ⅲ】

レージったら遅いわね。


『明日は買い物でも行くか』


レージから、そんなデートのお誘いがあったのは昨日のこと。

こんなこと、滅多にないから信じられなくて、思わず目を見開いちゃったわ。


そしたら、彼ったら「もう行かない」とか言い出すのよ。

ヘソ曲げるの、早過ぎると思わない?


で、頑張って説得して今に至るんだけど。

一緒にマンションから出るところを激写なんてされでもしたら大変!


だから、わざわざ時間を空けて、私が先に出て、13時にここで待ち合わせ。


うん。


外で待ち合わせっていうのも悪くないわね。


チラリと――……


本当に何気なく隣を見て、私は思わず声をあげそうになった。

慌てて口を塞いで顔を逸らす。


そこに居たのは、最近何かと世間を騒がせている女優の北沢 エリカ。


そういえば、一時期レージと交際してるって噂が流れたんだっけ。


ぅう~……


何だか、並ぶだけで少し劣等感。

もう一度、そろ~っと伺うように隣を見る。


やっぱりキレイ……


女の私でも、思わず見惚れちゃう。


――良いな……こんなにキレイだったら私だって……


嗚呼、ダメだ……黒い感情がとぐろを巻く。

何となく、思いに耽っていたら突然声を掛けられた。


「すみません」


振り返ったそこには、スーツ姿の男が立っていて。


「少しお尋ねしたいことがあるんです。今お時間よろしいですか?」


胡散臭い笑みを浮かべる明らかに怪しい男に、私は思わず身構えた。

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