源平合戦の後日譚。
元は野武士集団であった源氏の勢い止まらず
相対した平家の惨敗。雅やかな悲劇の波を
掻い潜って配送する名も無き若武者。
生き残った十三の船で中将に付き従うが
暗い波間の中にも、白い濱の篝火の中にも
答えはなかったのだ。
何故に、争うのか。
平家に従っただけの、只の人である。
京の都には父母と縁談の決まった妹がいた。
再び相見える事が出来るのか。彼らは
達者でいるのだろうか。
戦さ場の中では、生と死が刹那を以て
切り苛んでは無慈悲にも勝敗を捌つ。
永劫となる時の流れも波の満ち引きの中で
誰一人 わからない 行く末を、只々
凝っと見つめている。
若武者と、その上官である中将との静かな
遣り取りは正しく 禅問答 だ。
この穏やかで静謐な時間も又、悠久の中に
存在している。
静かな刃を交える。
それは理に因って為されるものとは限らず
生きて来し方を持つ者であればこそ。
大丈夫だ。
まだ、戦える。