人って、守りたいものがあるからこそ迷い続けるという世界観を古風に書き上げた作品だと私は思いました。
強い者たちが活躍する物語で、もちろん戦闘も熱いんですが、焦点はそこだけじゃない。強いから迷わないというものではなく、故郷を守りたい、それと同じくらい大切な人たちも守りたい――その葛藤という心情面に注目。
迷ったときには支えてくれる人がいるって、めっちゃいいことですよね。反面、正しさを選んだときの危うさもしっかり描かれています。
平穏をもたらしたように見える行動にも、その裏では犠牲になった土地や人々がいる。表面的な結果だけを見れば偉業でも、その仕組みを知ればまったく違ったものに見えてくる。
人が何を信じ、何を守るために生きるのかまで描かれているところが、この作品の魅力です。
理想の国のあり方を求め続ける男と、その仲間たちの物語。
魅力的な魔獣たちや、神通力を使っての戦闘など、読者をわくわくさせる要素をふんだんに盛り込みながらも、飢饉、大国の暴政、宗教の腐敗など、重いテーマにもきちんと向き合う大作です。
美男、美女が繰り出すかっこいい戦闘描写や、彼らの人間性はもちろん見どころですが、主要な登場人物に「おじさん」「おじいさん」が何人もいて、彼ら一人一人に施されている、奥行きのある描写がすごくいい!
「おじさん」が魅力的な物語に間違いはありません!!
作り込まれた世界観は考察の余地が無限にあり、歴史ファンタジーがお好きな方はもちろん、空想の世界へどっぷり浸かりたい方にもおすすめです。
強いではなく、弱い人をしっかりカメラを当てる、人間ドラマな作品です!
いや……面白いです。
和……じゃないですね、倭中王道ファンタジー! でしょうか、
和でもない、中国でもない、その中間くらいの世界観のファンタジーです。
繊細なのが、その知識かなと思いました。
この世界観独自の用語――ではなく、この世界観に見合う用語をしっかり引き出し、
聞きなじみはあまりないが、でも知っている……レベルの用語で世界観を彩っています。
主人公の哲学が「知ること」になっていますので、
自然と世界観を無理なく受け入れる、説明がタルくならずに書き連ねる工夫がされており、
いいなと思いました。
Webで読むには少し文字が密集した作風ではございますが、
これは……埋もれてるのもったいないと思える作品です。
p.s
えっ!? 星占は!? 星占の設定画ないんですか!?
ご想像に任せるやつ!?