格式ある世界と、やたらと地に足のついた日常感。その食い合わせのよさで、最初から最後まで楽しく読める作品でした。
本来なら重々しくなりそうな題材を、肩の力が抜けた会話と、妙に現実味のある細部で軽やかに見せているところが魅力です。怖いはずの相手や場面が、気づけば生活の延長のように扱われていて、その落差が何度も笑いにつながっていました。
主人公の年季の入り方もいいです。特別な力で圧倒するというより、長く現場を踏んできた人の慣れ、雑さ、判断の早さがにじんでいて、そこに妙な説得力があります。派手な奇跡よりも、毎日の仕事として淡々と片づけていく姿が面白く、同時に少し頼もしくもありました。
また、真面目な人物が振り回されていく構図も楽しいです。価値観の違いによって、読者の側も一緒に「それでいいの?」と突っ込みながら読めるので、テンポよくページが進みます。笑いの中に、仕事や地域、人とのつながりの温度がさりげなく混ざっているのも良かったです。
堅苦しいファンタジーより、会話の面白さやギャップの笑いを楽しみたい人に合う作品です。おじいちゃんキャラ、職人肌の主人公、日常に混ざる怪異ものが好きな人にもおすすめしたいです。