第14話
第14話
「王国兵」
⸻
「……だから俺は反対だったんです」
店へ入ってきた瞬間、
愚痴が聞こえた。
カラン。
リアだった。
その後ろには、
最近よく一緒にいる若い王国兵。
兵士は店へ入った瞬間、
やっぱり顔をしかめる。
ヴェラを見たからだ。
でも前みたいに、
声を荒げたりはしない。
ただ、
落ち着かない顔をしている。
リアは慣れた様子で席へ座る。
「酒」
「今日は連れ付きか」
ユウが言う。
「外でずっとうるさいから連れてきた」
「迷惑です!!」
兵士が即座に返す。
ガロンが笑った。
「賑やかな新人だな」
兵士は居心地悪そうに座る。
ユウが酒を置いた。
「飲むか?」
「勤務中です」
「真面目やな」
「普通です!!」
ヴェラが少し吹き出す。
兵士はそっちを見て、
また固まる。
やっぱりまだ慣れていない。
リアが酒を飲みながら言った。
「こいつ最近、
城でNO SIDEの噂止めようとしてる」
全員が兵士を見る。
兵士は顔を赤くした。
「ち、違っ……
いや違わないですけど」
ガロンがニヤつく。
「なんだ、
常連候補か?」
「違います!!」
レオが真顔で言う。
「否定強い人ほど危ないですよ」
「何がですか!?」
店内に少し笑い声が広がる。
でも兵士は、
まだヴェラを気にしていた。
それに気付いたヴェラが聞く。
「……そんなに怖い?」
兵士は言葉に詰まる。
数秒。
それから、
小さく答えた。
「怖いですよ」
店内が静かになる。
兵士は俯いたまま続けた。
「俺、
魔族に村焼かれたんです」
誰も喋らない。
リアも、
何も言わなかった。
兵士は拳を握る。
「だから……
どう接していいか分からない」
ヴェラは静かにグラスを見る。
怒らなかった。
否定もしなかった。
ただ、
小さく呟く。
「……そっか」
それだけだった。
レオが空気に耐えきれず、
慌てて酒を飲む。
ガロンは黙っている。
ユウは煙草を灰皿へ押し付けた。
そして兵士へ言う。
「別に、
無理に仲良くせんでええ」
兵士が顔を上げる。
ユウは続けた。
「嫌いなら嫌いでええ。
ただ、
店ん中で暴れんなってだけや」
静かな声だった。
兵士は少し黙った後、
小さく頷いた。
ヴェラも、
少しだけ表情を緩める。
分かり合えなくてもいい。
でも、
同じ場所にいることはできる。
NO SIDEは、
そういう店だった。
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