冬の荒野。
この景色を描くとしたら色は白と灰だけで足りるだろう。
そんな荒涼とした大地に、親を亡くした三人のきょうだいが寄り添うように暮らしていた。
長兄ヴァイン、次兄のアキ、そして妹のツェラ。
ある日、三人は矢傷を負い荒野を彷徨う一人の男を介抱する。
ささやかな人助けに思えたその出来事は、物語のほんの入り口に過ぎなかった。
「最後の冬」。
この短いタイトルにどれだけの想いが籠められているのだろう。
ページを開く前から胸が少し痛む。
けれど、そんな心配はたちまち荒野の風に吹かれて消えた。
朝吹さんの文章は牽引力がすごい。
きょうだいが画面の中で生き生きと動き回り、眩しいほどの生命力を放つ。
余計なことを考える暇もなく、ぐいと腕を引っ張られて物語の世界に飛び込んだ。
舞台は架空の王国。
聖職者が権勢を振るい、国は軋みを上げていた。
きょうだいもまた末端の国民として、その行く末をただ憂う――そう思われた。
きょうだいの暮らしを守るように織られていたカバーの糸が、少しずつ綻び始める。
読み終えたとき、幼い子の叩く太鼓の音が「ぼん、ぼん、ぼん」と風に乗って聞こえた。
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