第2話 私の過去。そして“やべえ内職”で壊れる母
団塊ジュニアど真ん中。
昭和の後半、まさにオイルショックの時代。
私はそんな大量に産まれた有象無象の一人だった。
そして。
まあまあハードモードな家庭に落ちた。
父は借金まみれ。
母は壊れかけていた。
そんな中で始まったのが――
“内職”だった。
今の時代の内職事情は私にはわからない。
でも当時の内職。
それはあまりにも率の悪い、そして“頭の悪いもの”が多かった。
幼かった私の記憶にある悍ましい内職。
それはガム。
うん。
意味わからんだろうね?
包装?
味のデータの抽出?
違う。
うま味“のみ”を抽出するという、今思えば在り得ないもの。
食品衛生法?
コンプライアンス?
あの当時そんなものは存在しない。
母はひたすら、死んだような目で。
業務用の恐ろしい大きさのガムを噛み続けた。
“うま味をつばと一緒に瓶にためる”
――そのためだけに。
くちゃくちゃと響く音。
時折咽て、咳き込む母親の苦しそうな顔。
――あれは現実だったのか?
正直夢であってほしいくらいだ。
大体から。
今思えば怪しさ満点だ。
おかげで私は。
大人になっても、ガムを嚙むことに忌避感を感じていたくらいだ。
コホン。
…何はともあれ、だ。
いったい“アレ”をどうしたのだろう?
――考えたくもない。
でもさ。
完全に特定の個人の“唾液まみれ”ですよね?
余りの悍ましさ。
内職の内容もそうだが…
日に日に感情が亡くなっていく母を横目で見やり。
子供ながらに思考を放棄する“すべ”を私は会得できたのだから。
結果我が母は。
味覚をほとんど失った。
今思えば母の作る料理。
味がおかしかったと今更ながらに思い出せてしまう。
ガム?
いまだにあの光景がよぎるよ?
食べられないほどではないけど…
好きではないな。
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