第2話  想起



「創造神…、トール…」


 何となく予想はついていた。神々しさと、その圧倒的なプレッシャーからこの人が神の類だと。


「えぇ、この世界トールは人類と、魔物が生息しています。魔物は通(・)常(・)、人類の敵であり、世界に住み着いている害虫のようなものですね」


「害虫って…、それに通常ってどういう意味…ですか?」 


「ふふっ、敬語は不要です。何せ私のミスで貴方達をこちらの世界に連れて来てしまったのですから。本来私は下の立場なのですよ」


「ミ、ミス?!」


 この女神真面目そうな顔してるくせにミスとかするのか。そう思わずにはいられなかった。

 神様がミスをするなんて考えにくいからだ。


「さて…まずは謝罪させて下さい。こちらの不手際で貴方達をこちらの世界に転移させてしまい、本当に申し訳ございません」


 そう言い、頭を下げてきた。


「いや…、その…、頭を上げてくれ。少なくとも俺はこの展開を嬉しく思っている」


「嬉しく…?」


「ああ、元々あんな世界にいたって俺はいつか自殺とかしてたと思うぜ?」


 女神の目がスッと細められ、自分を見つめてくる。


「なるほど…お辛い人生を送ってきたのですね…」


 何もかもを分かっているような顔をして、女神は言った。大方俺の思考でも読んだのだろう。何せ神様なんだし。


「ま、その話は置いとこう。この世界について教えてくれ」


 この話をするのは自分も嫌になってくるので、話を変えた。この世界について自分は知らなすぎるからだ。


「分かりました。それではお話ししますね」



 そこからこの世界についての説明が始まった。

 曰く、この世界―トールでは7つの国が存在するらしい。【魔導王国アリマドス】、【神聖国家セーラ】、【新興国マリガル】、【神龍王朝メリギドス】、【トニトル商業国家】、【白銀鏡キラサリア】、【魔国ガドラ】


 更にもう1つ、世界で管理している大陸が存在するのだが、後に話そうと思う。


 この世界では、多くの生き物が存在し、人類に仇なす存在を魔物と呼称する。ちなみに、人類にも種族が存在する。

 人間、ドワーフ、エルフ、鬼人、竜人、人狼、そして、魔人。魔人以外の種族は協力関係にあるが、魔人は違う。他の人類を滅ぼそうと、これまで何度も戦争を仕掛けてきており、今も尚攻撃を続けているらしい。

 ちなみに魔物は魔人に対して敵対しないという。


 そして、魔人を除き、主な職業が存在する。異世界特有の『冒険者』だ! 聞いた時はワクワクが止まらなかった。

 冒険者の主な仕事は『クエスト』をこなして、成功報酬を貰うらしい。クエストは誰でも発注する事が出来るようだ。しかも、 国や、ギルドが発注するクエストの報酬は膨大な報酬が貰える―らしい。


 クエストの主な内容は魔物の駆除。魔物が強ければ強い程報酬内容もつり上がっていく。

 ちなみにクエストには難易度が存在しており、難易度は星の数で表される。星は1~10まであるらしく、星10は殆ど発注されないらしい。

 ちなみに現在はなんと星10のクエストが発注されてる真っ最中だという。


 その内容は、7つの国を海を挟み、取り囲む大陸――【冥域アビス】の攻略である。



 冥域は現在、魔国を除き、世界で管理されている国であり、人類は誰も住んでいない。

 なぜならとんでもなく強い魔物が住み着いているからだそうだ。

 攻略と言っても具体的な内容は生態系の調査や、地図作成等どちらかといえば調査に近いかもしれない。

 ちなみに稀に、海や空から冥域の魔物がどこかの国にやってきて、街を破壊し尽くすらしい。それもたったの1匹だけで。


 それらの敵を討伐する為に冒険者は存在する。


 冒険者にもランクが存在するらしく、1~15まであるそうだ。

 多くね? 普通SランクとかAランクとかがラノベ定番じゃないの? という思いは心に秘めておく事にする。


 冒険者は皆、ランク1からスタートするらしく、大体の人はランク4らしい。

 ランク8からが人外の域

 ランク15はもうまじでバケモンクラスの奴等しかいないと聞く。


 そして、なんとこの世界には魔術が存在するらしい!! 転移前の幾何学模様の魔法陣とかめちゃくちゃカッコよかったから超楽しみ!


 魔術は『魔力』という空気中や、自分の体内に存在する力を利用し、魔力を何かに変換させる術らしく、魔術の発動にはイメージが大切な為、イメージを強く持てるように詠唱が使用され、階級が高い程詠唱は長くなる。


 魔術には系統があり、

 火・水・風・土・光・闇の基本6種の系統があり、これらの系統から枝分かれしていく。


 魔術には4つの階級が存在し、下級魔術、中級魔術、上級魔術、特級魔術があるという。



 これがここまで聞いた説明。



「ちなみに転移した他の奴等はどうなってるんだ?」


 ふと気になった事を聞いてみた。もしかしたら他の奴等はこのチュートリアル的なものを聞いていないのではないか、と。

 王道展開じゃん? 自分だけ色々な事知ってて強い的なさ!

 しかし、そんな妄想は簡単に崩される。


「ああ、他の皆さんも今私の説明を聞いていますよ」


「え?」


 言っている意味が理解出来なかった。今、俺の目の前に女神はいるのにどうやって他の奴等が説明を聞いているのか。

 考えられる方法としては…


「もしかして、魔術の分身…的な?」


「うーん、惜しいですね。分身的存在な事に違いありませんが、魔術ではありません」


「魔術じゃない…? 神様特有の力とか?!」


 神様なんだし、特別な権能とか持ってても不思議じゃない。そう思ったのだが


「いえ、この力は貴方達人類が使える力ですよ」


「俺達も…?」


「はい。この力を『スキル』といいます」



(はい『スキル』キタァー!)


 これぞ定番!! テンプレ展開来ましたァー!

 あれだろ? 最強スキル使って魔物とか魔王とかめちゃくちゃボコボコにしてヒロイン助けるとかそういう展開もあるって事だろ?!


 チート! チート!


「ふふっ」


 と女神が笑う。なぜ笑っているのだろうかと考えるより先に気づく。

 思(・)考(・)は(・)筒(・)抜(・)け(・)だということに。


「あぁー、そのぉー、聞こえてた?」


「はい。バッチリ」


 そう、とびっきりの笑顔で告げられた俺はしばらく魂が抜けたようにその場で固まるのであった。






◇◆◇






 とりあえず聞いた話によれば

 この世界の人々は必ず一つスキルを所持しているらしい。

 スキルは体に流れる『異力』というエネルギーを使用するもので、所謂超能力的なものだそうだ。

 女神の分身も同じ『並列魂』というスキルらしく、効果は魂を複製する事ができる。でも、器は別で用意しないといけないそうだ。

 ちなみに同じスキルを持つ者は例(・)外(・)を除き、存在しないらしい。


「なるほどな、んで当然俺もスキル貰えるわけだろ? どんなスキルくれるんだ?」


 そう、ここが重要である。

 もし、クソザコスキルだったらヒロインを見つける前に自分が死んじゃう!

 とりあえずせめて戦闘系のスキルであって欲しいが…


「そうですね。貴方にもスキルを差し上げましょう」


 そう言うと、女神は俺のこめかみに人差し指を突きつけ――



「想起(リコレクション)」


 その言葉と同時に、俺の思考は闇へと落ちていった。






(暗い闇…? なんだろう。初めてだけど、何故か知(・)っ(・)て(・)い(・)る(・)気(・)が(・)す(・)る(・))


 彼は今目の前が闇で覆われており、体は液体の中にいるかのように感じた。

 この液体? は冷たく、ドロドロとしていて、とても気持ちが悪かった。


(この色…黒だけで出来てないのか? 色々な色が混ざっている。赤系統の色が多そうだが…)


 しかし、混ざっている色も明るい色では無く、どこか陰鬱とした色だった。


 そして次の瞬間


(これ…は…いっ…た…い…)



 隼人の意識は急速に落ちていったのだった。


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