異世界転移した俺は大量の最強スキルを手に入れたので無双します~叙事詩0~
あいすに刺さる茶葉
第1話 プロローグ
この世は何故こんなにも残酷なのだろうか。
この現代社会には所謂カースト上位と呼ばれる者達の中に、平気で下位の者達を虐める人がいる。
彼等は虐めるという自覚が無く、ただ面白いから─非日常を求めているから、ただそれだけだ。
それをまた見て見ぬふりをしている人も然り。
自分が標的になりたくないからと言って、虐められている人を無視し、「自分には関係ない」というかのごとく振舞っている。
それは虐めている事と同義だ。
虐められている側は、何故誰も助けてくれないのか、何故誰も味方してくれないのか、そう考えていく内にどんどん人への信頼度が失われていく。
親友、友達、先生──家族だってそうだ。誰も俺を助けてはくれない。
今日だってまた───
「よぉ、オ~タ〜クさん! 今日もそんな隅で本読んでんのか? 本当にキモイなw」
ゲラゲラ笑いながら俺に話しかけてくるのは
顔は非常に整っており、女子が群がる程の人気である。
そんな俺――
いや、普通ではないな。思いっきり根暗陰キャだからである。
休み時間は教室の隅でラノベを読んでいたり、家にはラノベが何百冊と置いてある本棚や、プラモデル等の棚もあり、バリバリのオタクである。
当然家に帰ったらアニメを見るか、ラノベを読むかの2択で気づいたら徹夜していた時もあった。
「あはは…」
そんな苦笑いしか出来ない自分を情けなく思う。元々コミュ障である俺は佐久間のような陽キャと話すのは苦手だ。
「本当にキモイなこいつ〜」
「それな? こんな隅で女子のイラストが書いてある本とか読んでて本当キモイわ〜」
そうして佐久間に続くのは
この2人はいつも嵐の傍におり、当然陽キャ。自分とは住む世界が違う。
このクラス1-D組は総勢40名。陰キャは陰キャでも、俺のようにここまでコミュ障な奴はいない。
2人に対して、またも僕は苦笑いを浮かべ、その場を凌ぐのだった。
キーンコーンカーンコーン、と昼休みを告げる鐘が鳴り響く。
「あ、チャイムなっちゃったかぁ~、じゃあ今日はここまで。きちんと課題を終わらせてきてください!」
そう言い残し、先生は職員室へと戻って行った。
そして俺も立ち上がり、誰も居ない場所で弁当を食べようと思ったのだが、
「よぉ、オタク。ちょっと着いてこいや」
そう直介と、俊也を引き連れ、佐久間は言った。
ここから先の展開は予想できる。
いつもの――
「グッ…」
片頬が真っ赤に染り、床に転がる。
地面には鮮血が飛び散り、口の中からは酷く鉄の味がする。
そんな隼人に佐久間は残酷にも―
「おら、さっさとカネだせよ?」
「…だから、お金はお前達が取ったせいでもう無いって何度も言ってるだろ!」
「あ?
次の瞬間、嵐は隼人の腹を蹴り上げる。彼はサッカー部に所属しており、一般人よりも足の力が強い為、酷く鈍い痛みが全身に迸った。
「グゥッ…」
隼人は痛みに耐えられず腹を抱え込み、 その場に蹲る。
そんなことは余所に直介と、俊也は隼人のズボンを漁り…
「お、嵐、あったぜ。今日は…千円しか入ってねぇ…」
残念そうに俊也が告げ、隼人を侮蔑の眼差しで見つめる。
「あ? 本当に使えねぇなこいつは!」
「勉強も、運動も出来ず、顔もパッとしねぇ、それに加えてキ・モ・オ・タ、最悪じゃねぇか!」
嵐に続き、直介も隼人を侮辱する。
その後はただの憂さ晴らし。
隼人を殴り、蹴り、見下しながらゲラゲラと笑う。
隼人の身体には元々相当な傷があるのにそれは更に増えていく。
これは今日に限った話ではない。
入学して間もない頃、キモオタだと目をつけられたあの時からいじめは始まった。
最初の頃はただの悪口程度だったのでそこまで気にしていなかったが、恐喝、暴力と、いじめはどんどんエスカレートしていった。
勿論、最初の方は抵抗しようとした。
だが、周囲の人はいじめられている俺を目もくれず去っていき、更には嘲笑する者もいた。
全ては自分が標的になりたくないがため。
そう、自分の為に
それに対し、傍観者共は自分達が標的になりたくないから俺を無視する。
先生にだって言った。
だが「あんなのただの遊びでしょう? 気にし過ぎですよ」と、気にもしてくれなかった。
そう、先生も関わりたくなかったのだ。
干渉すると、保護者が出てきて色々面倒だからだ。
これも自分の為。
家族にだって言った。
だが、家族は出来の悪い俺とは違い、出来が良い弟を溺愛していた。
いじめの事を話すと「あんたが悪いんでしょ?」と決めつけられ、直ぐに弟の話を始めてしまった。
出来の良い弟は将来いい職に就き、可愛い嫁を娶り、安泰な暮らしが送れる。
当然その後、家にもお金を入れてくれるだろうという考えなんだろう。
これも自分の為。
世の中、皆自分の為に動くのだ。それは当たり前とも言えるが、時に残酷とも言える。
そう、今の俺のように。
(ああ、今日もか…)
と、当たり前かの如くそう思うのだった。
キーンコーンカーンコーン、と午後の授業を始める鐘が鳴る。
「はい、授業始めますよー。日直さん、号令」
そう言われて今日の日直、学級委員の
「起立! 気をつけ、礼!」
憂鬱な午後の授業の始まりだ。
昼食を食べた後の授業は眠くなる。一般常識だ。当然俺は机に顔を突っ伏して寝る。
教室の1番隅なので先生が近づいてこない限りはバレないのだ!
内心でそんなフラグを立てていると…
バチーン! と紙で叩くような大きな音が教室に鳴り響いた。更に自分の頭がとても痛い気がする。
「神楽坂さん、また寝てるんですか?」
痛みで頭を上げると、そこには鬼の形相をした先生―
ちなみにこの人は数学の先生で、俺達の担任。
どうやら頭を叩かれたのは僕で、叩いたのはこの人らしい。
今のご時世叩いて大丈夫なのかな…? と考えていると
「そんなんだから、いつまで経っても成績がビリなんですよ?」
と叱咤を飛ばしてきた。
こんな大声でわざわざ言うなよ、と思い「そうですねー」と適当に答える。
「貴方という人は…」
はあ、と先生が溜息をつき、教卓に戻ろうとした次の瞬間――
教室の床に幾何学模様の魔法陣? のような物が現れた。
『ッ?!』
クラスメイト40人全員が驚き、立ち上がり、動きを止めた。思考が追いついていないのだ。
あの嵐達でさえ、驚いている。
(魔法陣?! これってもしかして…)
普段からラノベばかり読んでいる俺には様々な知識が身についているのでこの展開には見覚えがある。
(異世界への、召喚?! もしくは転移?!)
彼は期待に目を膨らませているが、他の者たちは違う、
「な、なんだこれ?!」
「魔法陣?!」
「なんかヤバそうじゃね?!」
「逃げろぉーー!」
と、今までに無いほどのざわつきが静止していた教室に響き渡る。
魔法陣が出現してから僅か2秒で逃げ出そうとするこの対応は素晴らしいと言えるだろう。
その叫びを聞いた直後、俺以外の全員が廊下へと全速力で走り出そうとするが――
間に合わない。
教室中が白い光に埋もれ、全員の視界がホワイトアウトする。
「う、うわぁーー!」
「キャァーー!」
様々な悲鳴が飛び散るが、直ぐに聞こえなくなってしまい、全員の意識が飛んで行った。
◇◆◇
「う、うぅ…」
隼人が目を覚ますと、そこには誰もおらず、ただ真っ白な世界が広がっていた。
ずっといたら気が狂いそうな程の純白であり、少し恐怖すら感じた。
「…ここはどこなんだ?」
自分が想像していたのは緑いっぱいの異世界だと思っていたのだが…どうやら違うらしい。
物音一つせず、自分の声しか響かない。
だが、そんな隼人の質問に答える者がいた。
「ここは『星域』という、魂の通り道です」
後ろからするその声はとても澄んでいる女性の声だった。
後ろを振り向いてみるとそこには――
純白のローブを着た、美しい女性が立っていた。否、浮いていた。
女性の髪は長く、床までついており、色は瞳と同じ赤色だった。
「ッ?!」
驚愕する。だってさっきまで誰もこの空間にいなかったからだ。
しかも、彼女の気配はとんでもない程強く、何故声をかけられるまで気づかなかったのだと思考が混乱した。
それに、直感でわかる。彼女は人間では無く、自分が逆立ちしても及ばない絶対的強者であり、超越的存在である、と
「その…貴方は誰なんですか? それに『星域』って…?」
恐る恐る隼人が質問する。
この人? なら簡単に自分を殺せると分かっているからこそ、慎重に。
「ふふっ、少し混乱しているようですね。それもそうです。急にここに飛ばされたのですから」
彼女の声を聞くだけで身体が…魂が震える。
恐怖しているのだ。
「あ、少しプレッシャーが強過ぎますか? 失礼しました」
次の瞬間、彼女の膨大な気配は、すんと消えて震えも収まった。
「私の名は
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