第6話 謎その二、れいかの着信音と無駄な推理

その直後、れいかのスマホが鳴った。


着信音が、アイドルの楽曲だった。キャッチーなサビが個室に響き渡り、反松が「あ、これ何の曲?」と聞いた。


れいかがスマホを取り上げようとするより先に、まゆが「あ! これ、ユメトキメキ♡の『ときめきフォーエバー』だよ! れいかちゃんよくカラオケで歌うもんね」と言った。


れいかが「そう」と言いながら通話を切った。


豪の刑事モードが、静かに、しかし確実に起動した。


【光明寺豪・内心/刑事モード、完全覚醒】

整理しよう。曲名は「ときめきフォーエバー」。アーティストは「ユメトキメキ♡」。れいかはこの曲をカラオケでよく歌う。つまり、れいかがよく行くカラオケには、この曲が配信されている必要がある。ユメトキメキ♡は配信カラオケへの楽曲提供が限定的だという情報を、俺はどこかで見た気がする。となれば——彼女たちがよく行くカラオケは、ユメトキメキ♡の楽曲を配信している数少ない店舗のどれかだ。この近辺でその条件を満たすのは、おそらくビックリドムドム系のカラオケ一択。つまり彼女たちのホームは、駅の南口を出て左、徒歩三分のあの店だ。解決した。

(誰も頼んでいない。この推理は今後一切役に立たない。しかし豪は満足していた)


反松が「へえ、可愛い曲名だね」と言い、れいかが「まあ」と答えた。会話はそこで終わった。


豪の推理は、誰にも披露されなかった。


永遠に、披露されることはないだろう。

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