第3話 戦では無い戦い

信康様


酒井忠次は呟いた


我らの弱さの犠牲になる可能性がある。


聡明な家康様も感じておいでの筈。


元々信長の娘との結婚は鎖の如き意味を持ち。


機嫌を損ね反意をみられれば今川や武田の様に命は無い。


そこに来て今回のお預かりした手紙。


殿が信康様の後見人石川数正では無く


酒井忠次に期待した使命。


恥辱の始まり。


三河の国を守る為。


戦では無い戦いが始まる。


ーーー


恐らく既に我々は負けた側だ。


恐らく何かしらの代償を払う事になる。


下手な手段はあの男には通用しない。


嘘を嫌い


速さと恐ろしさを持つ信長。


あの男を敵に回してはならない


長篠の戦いで得た教訓だ。


武田と国境を接していたからわかる長篠の戦いの絶望。


あれを三河に再現させる訳にはいかない。


家康様の昨日の顔を見ればわかる。


我らは此度は負ける。


三河の未来と引き換えに。

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