冒頭の凄惨な現場から、一気に物語の世界へ引きずり込まれた。
2030年の澁谷という、ディストピア感溢れる舞台設定の作り込みが素晴らしい。
とりわけ五感に訴えかけるホラー演出が秀逸。
孤独な弱者たちの哀哀たるドラマを背景に、物語は進む。
第1話から緻密に張り巡らされた伏線が、最終話で美しく、そしてあまりにも鮮烈な狂気へと収束していく。
その構成の巧みさに脱帽です。
主人公の刑事・首藤が背負う「死神」のジンクス、相棒・金津木とのバディ感、そして理世との歪で切ない「約束」の行方……。
ラストシーンで首藤が発する言葉は美しく、そしてこれからも続く彼の人生が滲んでいます。
ぜひ多くの人に見届けてほしい傑作です!
私が、小説を書き始める遥か以前、ある不安が、フト、頭をかすめました。
今から数十年前、場末の喫茶店では、容器に入った真っ白のシュガーと、コーヒークリームは、お客が、各自セルフで入れるのは当たり前の時代。
もし、ここに悪意ある人物がいて、防犯カメラも無い時代、このシュガーカップに大量の「青酸カリ」を入れて、店を出た行ったら、果たしてどうなるのだろうか?
それから更に数十年後、ハロウィンで賑わう東京のど真ん中で、仮面をかぶり、チェーンソーを振り回して、通行人の首を次々と切り落とすと言う「地獄のハロウィン」と言うスプラッター小説を考え出しました。
真白透夜先生は、この私の血が飛び散るだけの「地獄のハロウィン」より、更に、文学的に仕上げておられ、特に、登場人物の各々の心理描写まで、詳細に記してあります。
この『渋谷葬送』は、そういう意味でも、完成度の非常に高いホラー小説なのです。
しかも、ミステリー要素もまた強いのです。
読んで損の無い小説とは、正に、この事です。
一読を、強く強く、お勧め致します。