終戦後の奈良を舞台に繰り広げられる、
戦場から復帰した父親が興した畜産業の
苦い顛末…。
それは新たな地平へと足を踏み入れた者に
容赦なく振り下ろされる鉄槌。
恰も、賽の河原で積む小石の如く。
ヒトは強い。しかし、その強さを下支えする
ものとは一体、何なのか。
凶事は無情にも全てを奪ってしまう。
それは、分析や検証などでは答えは出ない。
人の強さも又、何ものにも推しはかる事は
出来ないのだろう。
さて。
この 楠本ラリアット なる作者。
とにかく 物凄い作品 を描く。
静謐に、無機質に、冷たく生々しく、或いは
穏やかて心地よい絶望、不変である刹那を。
どの作品もまさに圧巻の感動を齎す。
心に響き残る数々の物語たちは、どれも全く
別の貌をしていながら、読む者の心の内側を
静かに覗き込んで来る。
兎に角、物語から 何か を得たいと
思うのならば、間違いなくそれは叶う。
全ては 救済 となるだろう。