六話 アサクサと友人
「ふーぅとりあえず
「一体なんで一年も放置していたんですか?エルフですけど時間感覚はまともなので。」
リサはえへん、と言わんばかりに鼻を高くした。
「いやぁめんどくさかったし、何よりコーラが飲みたい気分じゃなかった。」
「気分ですか……。」
リサはエリックの気分によって生死を決められる
「さて急ぎだから転移魔法を使うよ。」
エリックは足元に魔法陣を展開する。
(できるんじゃん……。)
リサは行きの時に使えばよかったのにと言いかけたがやめておいた。
魔法陣が体を潜り抜けると景色が一変した。
あたりを見渡すと、どこか時代に取り残されたような感覚を覚えた。
石畳は長年踏み固められ、両脇には木造の建物が肩を寄せ合うように並んでいる。
「ここがアサクサだ。あまり滞在したくないさっさとギルドによって終わらせるぞ。」
エリックは不自然に急いでいた。
(絶対なにか変なことする気だ……。)
リサは用心しながらついていく。
石畳の通路を歩いていくと巨大なギルドについた。
ギルドは酒場も隣接していた。
(へぇ酒場あるじゃないの。)
リサはちょっと上機嫌になる。
リサはエルフの中でも随一の酒飲みだ。
最近は酒を断っていたのでわくわくが止まらない。
「なにニヤニヤしてんだ?」
エリックは不思議そうに覗いたので慌てて顔を戻す。
エリックたちはギルドに入り、すぐさま受付へ向かう。
「
エリックが早く金よこせとでも言うように受付の人の前に手を出す。
「あぁ。討伐はしてくれましたが……。何故一年もかかったのですか——?」
「こっ、これは太平洋よりも深いわけが……。」
エリックは必死に手振りをしながら誤魔化す。
「めんどくさかっただけですよ。」
「おい、リサ!今マシな言い訳を考えてたところだったのに……。」
エリックはリサの口を全力で塞ぐ。しかしリサの口は止まらない。
「本当呆れた人ですよね……ふん?ふふふ!」
エリックは最終兵器として慣用魔法、
口をチャックにしてそのチャックを閉じる魔法を使ってリサの口を物理的に封じた。
「さて、でいくらだっけ?報酬?」
後ろでリサが必死にチャックを開けようと奮闘する中エリックは平然と受付に話しかける。
(……後ろ、今どういう状況?)
受付は一瞬だけ視線を泳がせ、それでも職務通りに口を開いた。
「えぇ。金貨三枚です。」
今の時代の金貨の価値は読者たちの世界換算だと一枚で10000円相当である。
「ウッヒョ〜いやいや、ありがとうございます。」
エリックは一攫千金にすっかり浮かれている。
「よいしょ。やっと解除できた……。エリック、不都合なことを言わせないようにするのよくないよ!」
リサは息を切らしながら言う。
「で、エリック様。次の
「いや。今は時間がないんだ。特にここの酒場からいやこの街から早く抜けないといけない。」
「ずっと思っていたんだけど、この街をそんなに早く抜けないといけない理由ってなんですか?」
——カラン
リサがエリックに聞いた瞬間にギルドの扉が開いた。扉を開けた人物を見た時、
エリックは凄く嫌そうな顔をしていた。
「おぉ。エリックではないか、久しぶりだな。」
「あぁ。マッチ。久しぶりだな。」
「マッチじゃねぇ!マチルダだ。」
「で、そちらは?おいまさか……。」
マチルダはエリックに近寄り耳打ちをする。
「おい、あの美人さん。お前の彼女か?俺よりも先に作るなんて、失望したぜ。」
「おい、何勘違いしてる!これは……、連れ?世話役?そんなもんさ。」
「何話してるんです?」
二人はリサが覗き込んでいることに気づかなかった。
「あぁすまない自己紹介がまだだったな。マチルダってことはこいつがさっき話したが。俺はアサクサ魔法協会の警備部長をしている。」
「私はリサ。あいつの世話役です。」
チャック魔法を解いたリサが水を得た魚のように饒舌になる。
「この国
エリックがいらない情報を付け加える。
「うるせぇ!だが、いつか、お前を越すのは俺だからな。」
「それは何億年後の話かな?まぁ魔族になれば別だけど。」
「なるか!魔族になんて、それなら多摩川のほとりで裸踊りした方がマシだわ!」
(……どういう状況よそれ?)
リサは脳内でツッコミを入れる。それと共に早く行きたかった理由もわかった気がした。
(マチルダさんもいい人そうだな。)
リサは男二人のくだらない争いを眺めていた。
「そうだ!エリック、久しぶりに
マチルダは急に立ち止まって言う。
「えぇ〜。
エリックはやる気なさそうに言う。
「あぁ。今まで999連敗中だからな。ハハハハハ。」
マチルダは謎に自信満々に笑う。
「その自信どこから出てくんだよ。俺は999連勝中ってことだぞ。」
エリックは初めて?まともなことを言う。
このあとへの悲劇までもう直ぐ近い——。
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