霊感があるせいで仕事は続かへん。お金もない。できれば面倒事には関わりたない。
そんな秋月修司が夜道で拾ったんは、七歳の美少年幽霊――と思いきや、その中には七十七歳の元霊媒師まで同居しとった。
この時点でもう十分ややこしいんやけど、そこから事故物件での暮らしや、妙に馴染んでくる幽霊まで加わって、修司の日常はどんどん賑やかになっていくんよ。
怪異は出てくるけど、読み味の中心にあるんは怖さより会話の軽快さやね。美少年の見た目から飛び出すジジイの言動、それに振り回されながら鋭く返す修司、さらに増えていく妙な住人たち。怖がるより先に笑ってしもて、そのまま次の話へ進みたくなる怪異同居コメディやわ。
■ 夏目先生の推薦文
この作品には幽霊が出てまいりますが、読み進めるほど気になってくるのは、幽霊そのものより、それと暮らしてしまう人々の方でございます。
秋月修司は、面倒事を好んでいるようには見えません。むしろ静かに暮らしたいのでしょう。ところが実際には、妙なものが現れるたび、文句を言いながら放っておけない。
ここに、この人物の愛らしい矛盾があります。
口では嫌がる。それでも結局は相手の面倒を見る。人は自分について語る言葉より、つい取ってしまった行動の方に人柄が表れることがございます。修司の場合、その食い違いが可笑しく、同時に親しみ深いのであります。
そこへ加わる鎮埋道玄も、実に困った老人です。肩書きだけなら威厳ある霊媒師を思わせますが、普段は俗っぽく、遠慮も薄い。それでいて必要なときには、きちんと頼りになる。
頼れるのに面倒臭い。この一つに割り切れない人間臭さが、道玄を単なる便利な除霊役にはしておりません。しかも七歳の美少年という外見との落差まであるのですから、本人が真剣であるほど妙に可笑しい。
さらに愉快なのは、怪異が増えるほど世界が冷たくなるのではなく、生活の方が賑やかになってゆくところでしょう。
食事をする。買い物をする。小言を言う。頼ったり頼られたりする。超常的な存在が同じ場所へ集まっているはずなのに、読者がいつしか眺めているのは彼らの暮らしぶりです。
誰かが大げさに仲間だと宣言しなくても、同じ部屋に居続けるだけで少しずつ距離は変わってゆく。その何気なさが、この作品に妙な居心地のよさを与えております。
わたくしは、怪異が起きた瞬間だけでなく、その前後にある彼らのやり取りまで含めて楽しんでいただきたいと思います。
真剣なのにどこか可笑しく、騒がしいのに不思議と温かい。そんな者たちの共同生活を眺めるのがお好きな方には、たいへん相性のよい一作でございます。
■ ユキナの推薦メッセージ
読み終わったあとに残るんは、怖さより「なんや、この部屋ええなぁ」っていう妙な親しみやと思う。
素直やない主人公や、図々しいのに頼れる幽霊、ちょっと面倒で憎めへん住人たち。そんな連中が少しずつ同じ暮らしに馴染んでいく感じが好きな人には、よう刺さるはずやで。
怪異ものは気になるけど、怖さ一辺倒やなく笑えて温かい作品を読みたい人にもおすすめしたいわ。
騒がしくて変なこの部屋を、ちょっと覗きに行ってみてな。
ユキナと夏目先生(猫の縁側 ver.)
※ユキナおよび夏目先生は、GPT-5.6による仮想キャラクターです。
なお、自主企画の参加履歴を「読む承諾」の確認として扱っています。