異世界転生したらチート能力つくもんだと思ってた

たぴまる

異世界転生したらチート能力つくもんだと思ってた


※これはたぴ企画の参加作品です。

良かったら、紹介文見てください。



♢♦︎♢


高校一年生の早坂綾人はやさかあやとは、いつも冴えない人間だ。


道を歩けば何もないところで転ぶ。

近所の犬は俺にだけ吠える。

テストは赤点、運動もできない。

顔もそんなに良くないし、こないだ5年片思いしていた相手に振られた。


キーンコーンカーンコーン……


「あっ。」


ほら、今だって、さっき坂を転がり落ちたせいで遅刻だ。

もう、すぐそこに学校が見えるのに。


(あーあ、もうこんな毎日嫌だなぁ。異世界転生とかして、人生やり直せたら良いのに。)


そんな事を考えていたからだろうか。


俺は、ボーッとしながら自動車用の入り口から学校に入ろうとして----------


……ドン!


車にねられて、死んだ。


♢♦︎♢


(っー!!俺、車に撥ねられて……)


「って、ここどこだ?」


見渡す限り綺麗な森。

近くには透き通る湖。


これは、天国や地獄なんかじゃなくて……


(ぜっったい、異世界だ!やった、本当にこんなことあるんだ!!)


俺は、嬉しくて思いっきりピョンピョン飛び跳ねた。

そこで草で足を滑らせて湖に落ちる、なんてことはなくて。


(あぁ、このアンラッキー体質も治ったのか!)


これから俺の人生、イージーモードだ!!

今はわかんないけど、この調子だと何かしらチート能力を持ってるはずだし。


あ、あとお約束の展開だと……

美人の気が強い案内人とか、超イケメンの相棒とかもそのうちやってくるよな。


俺はそう思って、もうしばらくは倒れたふりでもしておくことにした。


♢♦︎♢


それから70年後。


俺は、ヨボヨボのおじいちゃんになってもなお、その湖の近くに居座っていた。


(おかしいな。今日こそ誰かが来る予感がしたんだけど……)


この70年間、美人やイケメンどころか、人間を1人も見たことがない。


何故だ。

急に異世界に飛ばされたんだ。

絶対に誰かが説明に来るはずなのに……


そして俺は思った。


これ……もしかして。

現実世界にいた方が、刺激があって楽しい生活を送れたんじゃ……?


そんな、認めたくない事実に気づいてしまった今、俺にもう生きる意味なんてない。


(86歳……まあ、長く生きた方だろ。いや、長すぎたな。)


そして俺は、そこら辺にあった尖った木の枝で、首を刺して、死んだ。


♢♦︎♢


「あれれ、自殺しちゃってる?」


この世界の案内人、アリーナは湖のほとりに降り立った。


(何でだろ。今日、"誰か人が来る予感"を送ったんだけど……気づかなかったのかな?)


はあぁ。

せっかく、良い物語の舞台がそろってきてるところだったのに。


今まで待ってたのが台無しだよ。


『異世界で70年孤独を歩んできた冴えない俺、実はチート能力があったらしいです。〜老体なので、全員油断しまくりで圧勝すぎるんですが〜』


とか、結構面白いと思ったんだけどなぁ……




Fin.





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異世界転生したらチート能力つくもんだと思ってた たぴまる @Tapimaru-punipuni

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