学園ミステリーということで、学校内で美術作品が壊されたり、ちょっとした謎を生徒たちが追うような作品を想像していたのですが、読んでみると想像以上にガッツリ事件が発生するミステリーで驚きました。
特に、事件が起こる前の島崎と冴子先生の関係をしっかり描いたうえで、そこから殺人事件へ繋がっていくので、かなり印象に残ります。
島崎自身も「自分でもよく覚えていない」という状況で、指紋などの物証まで出てくるので、読者側も彼を完全には信じ切れない。
このあたりを読んで、「あ、これちゃんとミステリーを描こうとしている作品なんだ」と認識が変わりました。
最後に登場した三島五郎という人物も、これからどう関わってくるのか気になります。
昭和五十六年の進学校を舞台に、青春のまぶしさと事件の不穏さが鮮やかに交差する学園ミステリーです。
喫茶店で流れる当時のヒット曲、インベーダーゲーム、共通一次試験など、昭和の空気を感じさせる描写が丁寧で、物語の世界へ自然と引き込まれました。
夏目、島崎、芥川、それぞれの進路や家庭環境、恋愛事情までしっかり描かれているため、登場人物たちが生き生きとしているのも魅力的です。とくに、母親を思いながら将来を考える島崎と、家庭教師の冴子への真っすぐな気持ちが印象に残りました。
そんな青春の日々を揺るがす、学年一の秀才の転落死。そして、思いもよらない殺人事件と逮捕の知らせ。散りばめられた謎がどのようにつながるのか、続きが気になって仕方ありません。
昭和の雰囲気が好きな方にも、人間模様をじっくり楽しめるミステリーを探している方にもおすすめしたい作品です!