タイトルとあらすじの時点でかなり強い作品ですが、読み始めると、その期待を裏切らない勢いがありました。
主人公の衛藤大吾は、決して立派なカウンセラーではありません。むしろ内心ではかなり失礼なことを考えていますし、相談者を金づるとして見ているところもあります。けれど、その本音の悪さと、表向きの受け答えの上手さの落差がとても面白いです。
しかも、大吾の言葉は適当なようでいて、相手が欲しがっている言葉を妙に的確に拾ってしまう。そのせいで、相談者たちがどんどん心を開き、距離感を間違え、物語が予想外の方向へ転がっていく流れに引き込まれました。
幼馴染の詩との関係も印象的です。助手としてそばにいるはずなのに、相談者たちが現れるたびに嫉妬や不安がにじみ出て、彼女自身もまたかなり危うい存在に見えてきます。大吾が相談者を扱っているつもりで、実は周囲の感情に振り回されていく構図がとても楽しいです。
会話のテンポもよく、主人公のツッコミが次々に入るので、重くなりすぎずに読めます。けれど笑っているうちに、「この人たち、本当に大丈夫なのか」と思わされる怖さもあり、そのギリギリのバランスが作品の大きな魅力だと感じました。
ブラックで、危うくて、でも妙に笑えてしまう。
エセカウンセラーのはずの主人公が、どこまで人の心を引き寄せ、どこまで追い詰められていくのか、続きが気になる作品です。