心象4:大人な子供じゃない!

「靴を早く決めなさい」

「まって、今日の気分はブルーとシアンのどっちかなんだから」

「早くしないと私一人で行ってしまうわよ」

「お母さんは私を一人ぼっちにしないもん」

「屁理屈を言わない」

「屁理屈じゃないもん。反抗だもん」

「なお悪い」


 だって今日はお母さんとのお出かけの日だから素敵な格好でお買い物したい。

 赤色とかオレンジ色は運動する時の靴だから今日履くのは無しだけど、お出かけ用のシアンと格好良いブルーの靴のどっちにしようか悩む。

 お母さんはすぐにお出かけ用の服も靴も決めちゃって私ばっかり悩んで遅れちゃう。

 お母さんはきれいな人だから私が側にいても平気なようにするのがいいんだって柚ちゃんが教えてくれたから、お母さんの側にいてもハズカシクないように服装をしっかり決める。


「うーあー」

「はぁ〜、お母さんはシアンの靴を希ちゃんに履いて欲しいな」

「そうなの?なんで?」

「ブルーも素敵だけど普段使っている靴だからところどころ汚れちゃっているでしょ。洗えば落ちるけど今からしている時間はないし」

「ないし?」

「お母さんは普段の希ちゃんだと履かない靴を履いて歩く希ちゃんと一緒にお出かけしたいな」


 ふわぁ〜

 お母さん格好良い!

 イケメン!

 数多の女を落としてきた男!


「すごい!」

「柚ちゃんは知識がドラマに偏っているね」

「私ドラマ見てみたい。柚ちゃん面白そうに話すんだもん」

「ドラマはねぇ。私があまり好きじゃないんだよ」

「そうなの?なんで?」

「劇場で人の演技を見る分には良いんだが、テレビで人の演技を見るのが好きではないんだ。もちろん好きなドラマもあるし、人が演技する映画を見ることもある。だけど基本的に私はドラマが好きじゃない」

「そっかぁ〜。私もアニメのほうが好き」

「アニメが大好きってわけでもないんだけどね」


 今日も日曜日のアニメを見てからお出かけする。

 終わったら着替えて靴を履いたけど、お母さんはアニメを見てなかったから早いのか。

 ズルい。

 お母さんは早く始めたのに私は後から始めて遅くなるのは当然なのに。

 靴だってお母さんの持ってる靴の色はおんなじものばっかりだ。

 お母さんはみんな違う色っていうけどちょっとしか変わらない。

 遊んだらすぐに分かんなくなるのに。

 もっと色が違ったほうが気分が変わると思うけどなぁ。


「チャイルドシートしめた」

「シートベルトはまだ届かないから私がやろうね」

「ありがとう」

「お礼が言えて偉いね」


 今日のお出かけの目的地はお部屋に置く草を買うこと。

 まえにお庭に植える木を買ったけどお部屋から見えないしリビングにいると触れない。

 それじゃあってお母さんが、かんようしょくぶつを買おうって、お部屋に置く植物があれば私が触れるしお部屋に飾れるものもあるって。


「お母さん、どんなかんようしょくぶつを買うの?」

「買おうと思っている観葉植物は、まず稲妻軽樹いなずまけいじゅかな。電気を食べる魔法植物でね。ポーションの材料になるんだよ。アロエと悩んだけど私に馴染み深いのはこっちだから」

「いなずまけいじゅ」

「電気を食べて成長する樹木。重樹は庭に植えなきゃだけど軽樹ならプランターでも大丈夫」

「ポーションってお怪我治すもの。いい木」

「そう良い木。しっかりお世話してね」

「分かった!」


 お母さんはいくつも買うものを言ったけど全然覚えられない。

 難しいものばっかりで聞けない。

 もっと簡単にしてほしいけどその時に質問しなさいって続きを言っちゃう。

 やー


「つまんないー」

「ごめんね。子供を甘やかすのが初めてだからさ。実用性で選んで説明も大人向けになってしまうね」

「わ、私は大人だもん」

「それじゃあ庭にはアムエス=テロンの挿し木があります。アムエス=テロンは元はどこにあったさんでどんな特性があるしょう」

「えぇーわかんないよ〜」

「答えられないんじゃあ、まだ大人になったとは言えないな」

「大人だねって言われるもん」

「⋯いつかなれると良いね」


 私がふてくされちゃって話してあげないからお馬さんの中は静かなまま。

 お馬さんじゃなくて車だけどお馬さんのほうがカッコいいからお馬さん。

 ブルブルしててヒヒーンて鳴いてすっごい勢いで走る。

 競馬ってとっても速いお馬さんたちが一番になるのを当てるゲームなんだって。

 どのお馬さんも大人の人よりも大きくて私が全力でぶつかってもビクともしなさそう。

 他にもお馬さんは種類があるみたいで、白いお馬さんは競馬で走ってるお馬さんとは違ったり、とっても小さくて私よりも小さいお馬さんもいるみたい。

 大人なのに私よりも小さいんだって。

 と〜っても小さいけど私よりも早く走るかもしれないんだって。

 ま、負けない。


「着いたよ」

「んあっ」

「眠ってたね。これ寝顔」


 いつの間にか眠ってたみたい。

 お馬さんの夢見てたのかな。

 お馬さんに会いたくなってきた。

 それにしても私ヨダレ垂らしてる。

 写真の位置を服で拭こうとしても何もつかなかった。


「?」

「起きる前に拭いておいたの」

「ありがと」


 まだちょっとポヤポヤする。

 起きたときはそんなに思わなかったけど立ってみるとまだフラフラする。


「植物を見るんでしょ」

「ん〜」


 ねむい〜。

 抱っこしてほしい。

 そしたら植物を見れるかもしれない。

 抱っこしてのポーズをお母さんに向けてみる。

 そしたらお母さんは呆れた顔をしていた。


「希ちゃんはもう4歳なんだから......4歳でも抱っこはするか」

「する。絶対する」

「でも今日は紐を持ってきてないな。持てるか」


 虎くんが抱っこされて帰っていったことあるし、他の子も抱っこされたことある。

 私より大きい子も抱っこされてることあるからまだ大丈夫。

 お母さんに抱っこされても大丈夫。

 多分保育園のうちは大丈夫。

 チャイルドシートしてるんだから抱っこもしていいと思う。


「重くなったね」

「れでぃーに重いはたぶーだよ」

「柚ちゃん、いやこれは薊ちゃんかな。色んなことを学んでくれるのは嬉しいけどミームを学ぶにはまだ早すぎるね」

「駄目だった?いけないこと?」

「そんなことないよ。希ちゃんは良い子だよ。それと大人の女性に重いは失礼だけど子供に重いは成長している証拠だからとても良いことだよ」

「そっかー。えへへっ」

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