鈴華
だから、私は2人と離れた。
あの日、優里くんが私を救ってくれた。
恩義なんて言葉だけじゃ足りない。
ずっと傍にいたいと思った。
優里くんと仲の良かった颯太とも仲良くなれた。
中学校は人が多かった。小学校とは違って仲良くできる同性の友達もいっぱいいた。
初めてカラオケに行った日は今でも思い出せる。
2人とも、仲良くしたいと思っていた。
けど、颯太は部活、優里くんは生徒会。
私は家で小説を書く。
時間帯が合わない日が続いた。
私が小説を書いていることを優里くんだけが知っている。
他の人に夢を話すのは怖いのだ。
昨夜、筆が走ってしまい寝るのが遅れた。
結果として朝、10分ほど2人を待たせてしまった。
まだ、颯太には書いてることは言えない。
引かれたくないから。
「ごめーん、課題探してたら遅れたー」
「おはよ鈴華」
普通に話が進んで少し安堵。
けど、隠し続けるにも限界がある上に、後ろめたさもある。
次の朝、優里くんから風邪で休むとの連絡。
颯太と2人きりで話すのも久々。
「よー鈴華」
「颯太おはよ、優里くんって今日風邪だよね?」
「だな、風邪って言ってたし、まぁ寝れば治るやろ」
その後は会話のネタに少し困ったが、颯太が意外と小説を読んでいるとのことで本の話題がすらすらと出せた。コミュニケーションに自信はないけど、得意分野だからなんとかなった。
少し違う話題を出してみるなんてこともできた。
「颯太って陸部だよね?何か部内でカップルできたって聞いたよ」
「あー、あいつらね、俺らの中でもだいぶ推されてた二人だったから納得だな」
キャラらしくもないことを聞いてしまった。
別に好きな人もいないから他の人の恋愛話に興味あるだけだから。
その日、奇跡的な出会いをした。
ただの隣の席の人の認識だった人が同じ作家さんのことが好きだったのだ。
あまり有名とは言えない人で、語り合える人が少なかったというのもあり、かなり嬉しかった。
連絡先を交換し、その夜は3時くらいまで電話で語り合った。
昨日の夜更かしとそれまでの書き作業が影響したのか朝からかなりの熱が出てしまった。
小説を語り合いたかったのに。
朝に日に日に弱くなっていた。
夜まで書いているからだけど。
この事情をまだ颯太には話せていない。
嫌なやつと思われてるかも。
そんな不安が頭をよぎった。
そういえば、優里くんとも話せていない。
そもそも、そういえばなんて言ってる時点で私、おかしくなっちゃってる。
「あれ?…私…何が大事なんだろ」
部屋で1人、唐突につぶやいた。
まずは颯太に隠してることを言いたいと思った。
そこで買い物を提案した。
本屋に行ったり、カフェに行ったりと色々したが、結局言い出せなかった。
一つの思い出にはなれたのかな。
その後は、ズルズルと行ってしまった。
颯太は部活の人達、優里くんは生徒会と私の入る隙がなくなってしまった。
「優里くん?今日は生徒会ないの?」
「久々にオフになったよ、一緒に帰る?」
優里くんは私が小説を書いていることへの唯一の理解者。
「この前颯太と買い物行ったんだ、そしたら颯太が思いっきりこけてさぁ」
「あいつらしいな」
いつも笑いかけてくれる優里くんに笑顔を返す。
けど、優里くんは、
その後、私のことを意図的に避け出した。
当たっているという確証はない。
けど小説を書いてればこのくらいならなんとなく読める。
ふと思い出す、自分の大事なものは結局何なのだと。
颯太への隠し事、優里くんに避けられてる。
こんな状態で私はここにいれない。
だから、ちゃんと、本気で小説を書いて、2人に見せたい。
これは、別れじゃない、準備期間だ。
だから、私は、2人と一緒にいるのをやめた。
いつか、話せるといいな
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