だから…
抹茶坂
颯太
だから、俺はあいつらと一緒にいるのをやめた。
始まりは小学校だったか。
校庭で走ってた時、転んで血を出した時に優里が助けてくれたこと、今でも忘れない。
その後、優里と仲の良かった鈴華も加わって、それから、この3人でずっと一緒かと思ってた。
3人とも同じ中学に入れたはいいが、なんせ人数の多い学校で、全然話す機会が減ってしまった。
しかし、部活の都合以外は毎日登下校を共にした。
俺は小3から始めていた陸上部に入部。
部員との関係も良好。はっきり言って順風満帆だった。
ある日の朝。
いつものように優里と共に鈴華の家の前で待つ。
「最近忙しい?やっぱり」
突然の問いかけに少し驚く。
「んなことねぇよ、優里こそ、生徒会入ってんだし忙しいんじゃねーの?」
「僕は他にも何人か役員いるから大丈夫」
優里が気にしいなのはわかっていた。
ぶっきらぼうで雑な俺にもそれはわかっていた。
「ごめーん、課題探してたら遅れたー」
「おはよ鈴華」
その後の道中、いつの日からか俺がほとんどの話題を出していた。
正直、毎日話すネタがあるほど、エピソードに自信はなかった。
話を冗談っぽくして、少しの無理をして、話が途切れないように、この関係でいられるように。
次の朝。
優里から熱が出て休むとの連絡。
思えば鈴華と2人きりなのも久々だ。
「よー鈴華」
「颯太おはよ、優里くんって今日風邪だよね?」
「だな、風邪って言ってたし、まぁ寝れば治るやろ」
その後も2人特有の話題で話した。
いつもは若干、話題を出すのが難しかったのも何故か今日は軽かった。
「颯太って陸部だよね?何か部内でカップルできたって聞いたよ」
「あー、あいつらね、俺らの中でもだいぶ推されてた2人だったから納得だな」
3人のときは何か気まずくなる恋愛の話も何故かスラスラ出てきた。
その日、部活がなかったため、鈴華を誘おうかとも思ったが、クラスの女子と話し込んでいたため、声をかけるのはやめておいた。
次の日、今度は鈴華も休んだ。
ほぼ毎日一緒だったので、朝は変な感じだった。
道中、陸部のクラスメイト集団に会った。
1人でいる俺が珍しかったようで、声をかけてくれた。
集団は案外楽だった。
誰かの出した話題に同意するか、近くの人とそこでだけのトークをすればいいのだから。
その後、鈴華が朝、遅れてくるようになった。
朝、起きられないからだそうだ。
別にそれに関してどうこう言うつもりもないし、言わなくていいと思っている。
優里と2人の時間が増えたが、互いの趣味がずれていることもあり、あまり会話は弾まなかった。
放課後、今度は大会の近い俺が頻繁に部活に行くため、ほとんど2人と帰れなくなった。
ある日の朝、久々に3人が揃った。
ぎこちない会話になることを恐れたが、2人が思っていた以上に話題を出してくれる。
それは、嬉しくもあり、複雑さも含んでいた。
今まで頑張ってきた分はどうしたのだと。
成り行きでだが、鈴華と買い物へ行った。
別に恋愛感情もないので、デートなどではない。
だが、クラスメイトに見つかってしまい、かなり苦労はした。
「なぁなぁ、颯太、これから朝一緒に行かね?」
陸部仲間にそう言われた。
最近は2人とも忙しいのか朝も帰りも一緒じゃない。
少し、罪悪感は、あった。
だが、俺は、それを呑んだ。
集団で帰っている時、前に2人が帰っているのを見た。声をかけようとしたが、2人は心なしかいつもより笑っていた。
正直これ以上2人と一緒にいると、俺が苦しくなる。この罪悪感と戦い続けるのは、いつか壊れてしまうだろう。
だから、
俺はあいつらと一緒にいるのをやめた。
もう、話せねぇな
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます