読み終わった後、しばらく天井を見つめ、いろいろなことを考えた。
私が考えたのは、これは的外れなのかもしれない……が、
世界中で問題になっている移民政策の話だ。
アフリカ。オーストラリア。日本。
外国人労働者を受け入れた故に、そこには本当にいろいろな問題が発生する。
考えてみたら日本人同士でさえ人が二人以上いたら、必ずと言っていいほど揉めるのだ。
そこに言葉の壁、文化の壁が入ってきたらもう、どちらかがどちらかに、心を削って順応するしかないじゃないか。
私のところの職場の、半分は外国からのアジア人だ。
台湾人が二名、マカオ人、韓国人。
全員、非常によく働いてくれるが、半分接客業だものでやはり事務所に彼らしかおらず、大きな声で中国語を話されると、それは問題になる。悲しいことに。
……異常にマクラが長くなった。
物語の主人公は、この先生の作品を見てきた人なら分かるとおり、いつものYouTuberだ。
彼が、南国ハワイを模した地方地域のリゾートバイトにて体験したことが物語になっている。
そこには、真琴さんという、足を怪我したフラダンサーが一緒に働いていたが……明らかにおかしいのは彼女の後に、何人か不明の背後霊が憑いていることだ。
彼の正体は一体?
そして、真琴さんの望む、理想のハワイアン・スピリットは日本に浸透は可能なのか……?
というお話。
「和を持って尊しとなす」
これは悲しい言葉である。
喧嘩をするな。という言葉であるが、言い方を変えれば、喧嘩をするくらいなら黙っていろ。私にはこう、聞こえる。
ハワイは、その過去にアメリカからの侵攻を無血開城させ、受け入れたという文化がある。それも両手を広げて微笑んで……。
そこから始まったのが、今も皆が知っているハワイだ。
移民政策は、どこの国でも問題になる。
しかし、もちろんわたしも、何度かハワイには行ったことがある。
あそこでは、全ての時間がゆっくり流れ、人々は穏やかで、皆笑っている。
海亀が平然と海辺におり、浜辺に座っている私の前を、時間をかけて横切ったりする。
そんな長閑な場所だ。
一方で、カメハメハ大王の本名にまつわる言葉も聞いた。
カメハメハ大王の本名は、和訳すると、「独りぼっちの悲しい王子」……(みたいなことだった気がする)なのである。こんなに笑顔に溢れた島の、王様の名前がこれなのだ……。
和を持って尊しとなす。
人が誤解なく支え合うのには、どうしたらいいのか?
そのことでしばらく、不覚にも考えさせられた。
外国人が相手の話ではない。人対人。
これは非常に切実で、避けられない問題なのかもしれない。
ご一読を。
異文化って、こんなにもすれ違うのか——そう実感させられる一作。
ハワイの「誰でも輪に入っていい」という空気と、日本の「一歩引いて楽しむ」距離感。その違いが、リゾートバイトという身近な舞台でじわじわと浮き彫りになっていきます。
理想を信じる者と、現実を守ろうとする者。どちらも間違っていないからこそ衝突は避けられず、その緊張感が物語を強く引き込みます。
そして物語の奥に潜む“ある存在”が、視点を一段引き上げ、単なる人間関係の話では終わらせません。
文化の違いに戸惑ったことがある人ほど刺さるはず。
読み終えたとき、「受け入れる」とは何かを静かに考えさせられます。