魔法陣と見て魔力の増幅や怪物の召喚などのファンタジーな事柄を思い浮かべてしまいましたが、本作はSF作品なので魔法や奇跡みたいな正体不明の存在に力のゆくえを託すことなく、散りばめられた論理的な要素らによって、この魔法陣がどんな存在であるかは物語を通して理解することができます。
物語は主人公が「図書館には願いを叶える魔法陣が描かれた本がある」という噂を聞いたところから始まるように。
読み手も噂を聞きつけた一人物であるかのように錯覚してしまうのは、主人公の行動や視界の中の動きがダイレクトに伝わってくるような端的な行動描写と、ひとつずつ階段を登るように配置されたSF的な要素が手探りな主人公の輪郭を少しずつ確かなものにしていくからである。
特別SF的な見解を持ち合わせていなくても本作を存分に楽しめたのは、スピード感のある展開とキャラクターの狂気や思考が若干のホラー演出へとなって、物語の軸である「魔法陣」という存在に帰結するからだろうか。
是非、とある魔法陣の噂の真実についてをお確かめください。
素晴らしい作品をありがとうございました。