他人事とは思えないお話でした。
誰にでも心の声というものがあるでしょう。あの時こうすればよかった。どうしてあれができなかったのか。後悔や反省が責め立てるように響いている。そんな声とどう向き合うかを綴っているのがこちらのお話です。
読み進める程に共感することは増えていき、思わず自身の過去を振り返ってしまいました。私にはネガティブな記憶ばかりが残っており、今でも思い出しては「あの時ああしていれば」という後悔に苛まれます。
しかしこの作品では、どうすれば心の声を受け入れられるのか。本音と向き合うの怖い。ならばどうすれば向き合える形になるのか。心の声は本当に痛いだけなかのかを分析しています。
その過程が丁寧に綴られ、自分自身を見直すきっかけにもなりました。
劇的に何かが解決するわけではないけれど、物事の捉え方を変えるだけで見えるものが違ってくる。そうすればネガティブだと思ってた後悔にも、別の答えがあるのかもしれない。自分の心の声ともっと向き合おうと思うことができました。
最後になりましたが、完結おめでとうございます。素晴らしいお話をありがとうございました。
「自己受容」「自己肯定感」と聞くと、どうしても身構えてしまう人がいると思います。
私もその一人でした。
でも、この作品は違いました。
主人公は自分を責める声を無理に消そうとはしません。
その声に名前をつけ、役割を見つけ、少しずつ距離を取りながら、「敵」だった存在との付き合い方を探していきます。
その過程がとても人間らしく、押しつけがましさがありません。
特に印象に残ったのは、「自分も悪かったかも」という言葉が、本当の反省ではなく、自分を守るための防御だったかもしれないという視点でした。
「正しい答え」を教えるのではなく、「なぜ自分はそう考えるのか」を一緒に掘り下げていく。
その姿勢が、この作品の大きな魅力だと思います。
AIも万能な先生として描かれているのではなく、自分では気づけなかった視点をくれる対話相手として描かれていて、とても自然でした。
そして何より好きだったのは、セヘイアさんという存在です。
厳しくて、火力が高くて、24時間年中無休で出勤してくる守護天使。
最初は敵だった存在が、読み進めるうちに「未来を守ろうとしてくれている不器用な存在」に見えてくる構成が本当に上手でした。
読後には、自分の中にも「セヘイアさん」がいるのかもしれない、と自然に考えてしまいます。
自己啓発が苦手な人ほど、一度読んでほしい作品です。
主人公の「僕」は、心の中で常にうるさい声が聞こえていた。
それは、自分を啓発するような言葉に対して反発してしまう声。
失敗したら責められる。
嫌なことを他人に言われたら、「僕」がもっと後悔するようなことを言って来る。
褒められたら、調子に乗るなと言われる。
さらに、心のもっと奥には激しい反発する感情の言葉も聞こえる。
自分は間違っていない!
納得いかない!
しかし、ある日「僕」は気が付いた。
なぜこんなメリットがないことをしているのだろう?
そして「僕」は名前を与えた。
僕を刺してくる声には「セヘイア」
荒々しい声は「リタ」
AIと対話をしながら、名前を付けたセヘイアさんとリタと「僕」は、少しずつ自分を愛することを学んでいく。
感想:自分の心の動きをこれほどまでに、言葉で精緻に描かれた作品を知りません。
嫌なことがあっても、モヤモヤすることがあっても、口にすることが出来ずに心の奥に閉じ込めた感情。
それを、セヘイアさんとリタという、正論で突き刺して来る声と、本音を荒っぽく表す声の、仮想の存在を生み出すことで、固く閉じられた心が少しずつほどかれていくように変化していく過程は思わず目頭が熱くなりました。この変化の過程こそが、本作の最大の魅力であり、読後にも長く余韻を残す理由だと思います。
【レビューコンテスト応募】
私は弱い自分を認めることが苦手だ。けれど、この作品を見ていると、自分の弱さと向き合おうと思える。それはきっと、この作者が感情を隠すことなく、伝えてくれてるからだろう。
誰かに対する不満や、自分の願望。そういった素直な気持ちを隠すことなく表現してくれるから、自分も一歩踏み出そうと思えるのだ。
私はこの作者ほど心の声が強いわけではない。それでも、些細な失敗から人格否定に入ることは多々あった。他人を羨んだり、恨んだ経験も多々あるし、社会の仕組みに不満を持つことだってある。
だからかな、私はいつしか他人に期待することを止めたのだ。期待をして相手が失敗すると裏切られた気分になる。だから、信頼はすることにした。きっと、なんとかしてくれるだろうと。
そんな苦い過去の経験を思い出す。
ただ同時に誰にも期待しないというのは私は、冷たい人間になったのではないか?という恐怖も同時に押し寄せてくる。相手と向き合えているのか、不誠実ではないか。
その答えは未だに出ていない。だけれど、それを放置するのではなく、また自分なりに答えを出していこうと、少し前向きになれたのは、この作品のおかげだと思う。
誰しも生きる上で疑念を抱く。それに向き合わせてくれるのがこの作品の魅力だと私は思う。
全部納得できる。
全部当てはまる。
言いたいけど言葉にできなかったモヤモヤが解消された感じの自己分析エッセイ!星が900超えなのも納得!
あの時こうすれば良かった、何であの時、あんな事言ってしまったのだろうという後悔や反省は誰しも一つや二つ持っているであろう。
失敗した時、なんでこうしなかったのか、こうしておけば良かったって、何度も何度も思い返す事がある。
『ああ、まだこの事を後悔してるんだ私』と思う。
そんな時は数年、数十年前の他のことまで、わざわざ思い出してしまう事も。
このエッセイでは、作者のしなもんさんが、過去の経験を例に出してその時に感じた自分の中の葛藤にセヘイアさんとリタさんという名前をつけて、AIの手も借りながら心理分析をしている。
その内容に共感できる部分が沢山あって、こんなふうに文章化してもらえると『あゝ、全く同じだ!』と確認出来てスッキリした。
本業は薬剤師、芸人という裏の顔も持つ異色の作家さんの珠玉の自己啓発エッセイ。おススメです!
【レビューコンテスト応募】
第1話のタイトルが「自分を受け入れる系の自己啓発が苦手な人へ」で、これで読者をつかむ。自己啓発本を読んでも「続かなかった」人間として、その理由が丁寧に解剖されていく。
「僕を刺してくる声」の具体的なセリフ「でも、あんたも悪かったでしょ?」「そんなのたまたまでしょ」「だからダメなんだって」が、読んでいて「知ってる」と思わせる密度で並んでいる。誰でも持っているはずのその声が、これほど具体的に言語化されていることに、まず驚く。
そして核心は「なぜ、僕はこんなにメリットのないことをしているんだ?」という問いだ。自分を責め続けることにも、怒りを手放せないことにも、何かメリットがあるこの視点の転換が、説教でも励ましでもなく、純粋に「観察」として提示されているのが気持ちいい。
消そうとするのではなく、名前をつけて向き合う。その名前が「セヘイアさん」と「リタ」だ。
エッセイか小説かわからないと感じる読者も多いようだが、それがこの作品の誠実さの証拠だと思う。完結済み8話・2万3千字。頭の中がうるさい日に、ぜひ。