「無駄な時間」とは、本当に無駄なのか。
本作は、そんな問いを不気味で印象的な形で突きつけてくる物語でした。
「今日も二十三時間がんばるかぁ〜」という軽い言葉から始まる日常。しかし読み進めるほど、その一時間が失われていることの怖さが、じわじわと迫ってきます。
特に印象的だったのは、「無駄な時間を食べてくれる時計」という発想です。一見すると便利で、少し優しいもののようにも思えます。けれど、移動時間も、退屈な授業も、眠れない夜も、すべてが一日を形作る大切な時間だったのだと気づいたとき、ぞっとしました。
「私の1日は、“無駄”でできていた――」
この一文がとても強く残ります。
切り捨てたいと思っていた時間の中にこそ、自分自身がいた。そう考えると、この物語の怖さは怪異そのものだけではなく、私たちが普段何気なく口にしている「無駄」という言葉の中にもあるのだと思いました。
短い中に発想の面白さと後味の残る怖さが詰まった、印象深いお話でした。