前編では、毎日レモネードを二杯頼む二人の違和感と、その正体が分かる切なさに引き込まれました。私個人が「ズレ」を主題にした作品が好みなので余計に、ですね。
そして、後編まで読むと、この話はただの悲恋や怪異譚ではなくて、届かなかった想いを生きている側が次へつないでいく話だったのだと見えてきて、ぐっと来ました。
詳しい展開は実際にお読みいただきたいですが、他人の未完の恋を見たことで、自分の恋も少し前へ進めようとする流れも含めて、とても良かったです。
「レモネード二杯」を繰り返す流れも、最後まで印象的でした。
飲まれないまま置かれる二杯が、二人の時間そのものであり、来年への約束の器みたいに見えて、静かですが、心に残る一作でした。