――寸鉄人を殺す。
この作品は、わずか1万5千文字で、10万字20万字の長編に比するほどの奥行きがあり、感情を揺さぶり、そして人の記憶に残る。
派手な鳴り物も、目を驚かせるカラクリも使わず、静かに――刺しに来る。
主人公である受付嬢を通して描くのは、駆け出しの冒険者と、ベテランと、ギルトの内幕。
それぞれに違うレイヤーで世界を捉え、それを一つの線でつなぐのか、主人公だ。
冒険者ギルドの受付嬢ものという、一見したところプリンのようなシチュエーション。「消費」されることが前提のWeb小説の世界で「そうやすやすとは消費されないぞ」という弾力を見せてくる本作。
普段、柔らかいものばかり食べている読者がうっかり手をつけると、きっとその歯ごたえの強さに顎が疲れてくたくたになるだろう。でも、それを十分に嚙み締め、そこから染み出す旨味を感じれば、きっと満足すること請け合いだ。