第40話 追憶(36)かんぱ(看破)
三週間後。
「魔草抜きチャレンジ」を終えた俺は部屋に戻り、ステータスを確認した。
名前:ルイ
種別:人族(異世人)
年齢:11歳
性別:男
職業:■■■■
レベル:370,000
攻撃力:370,000
魔力 :370,000
防御力:370,000
精神力:370,000
運 :370,000
ステータスは、随分と増えてくれた。
途中で、毎日のアップした数字が分かりやすいよう、ちょうどの数に調整した。
さらに10日前には、魔草抜きチャレンジの本数を倍の20,000本に増やした。
その理由は……
なかなかひらがなスキルが生えてくれない!……から。
最初に計算していたのは、レベル500で生えるひらがなスキルの数は2つの予想だった。
だが……生えない。とにかく生えない。
レベル20ごとに、普通のスキルは生えた。いろいろ生えた。たくさん生えた。もう、簡単に数えられる数ではないけれど、生活スキル、戦闘スキル、防御スキル、特殊スキルの合計は重複したのもいれると、18,500個に近づいたはず。
新しいスキルはなかなか生えないけれど、それでも、レベルが50,000だったころと比べれば、新しいスキルも数多く増えている。
でも、一方、これまでに生えた「ひらがなスキル」は6つだけ。
しかも少しずつ生える間隔が長くなって、一番、直近で生えたひらがなスキルは、レベル250,00を越えたとき。それからはもう、レベル120,000ものアップをしている間、ひらがなスキルは一つも生えてくれていない。
その新しく生えた6つの「ひらがなスキル」だが、師匠の魔力を回復させられる、あるいは現状を改善できる「ひらがなスキル」はなかった。
新しく生えたのは、飛行ができる【ひこう】、耐えることができる【がまん】、解除を意味する【かいじょ】、壊すことができる【はかい】、見抜くことができる【
新しく生えたひらがなスキルで、もっとも優れていたのが【かんぱ】。
これは、一つの事象に対する答えをアカシックレコード(世界記憶)を参照して、見抜くことができる、といったスキルだった。語感はちょっといまいちだったが、実は超優秀。
会話形式で答えを導いてくれる。
その【かんぱ】のスキルを使って、師匠の状況を確認したところ、いくつかの方法を示された。
魔力がなくても生命力に影響を与えないようにする改変のスキル、新しく生まれ変わるスキルなど、いくつか提示された。
そこで新しいスキルの中で役立つものがないかと照らし合わせたところ、一番、答えに近かったのが【がまん】。
【がまん】は、いわゆる耐性スキルの強化版のようなもの。痛みを我慢する、麻痺を我慢する、魅了を我慢する、といった具合にあらゆる異常状態を我慢できる優れもののスキルだ。
我慢すれば耐えられる? 少しふざけているのでは、と思ったが、師匠が魔力がなくても我慢すれば良いから、ということだった。なるほど。
だが、このスキルは自分にしかかけることができない。残念。
【かいじょ】も、呪いや毒といった異常状態を解除できるスキルだったが、【かんぱ】の説明によると、師匠の魔力が回復しないのは、「最大魔力」を持っていないから、ということが原因なので【かいじょ】の対象ではない、ということだった。
普通は「100/100」、左側が現在魔力、右側が最大魔力というように、現在魔力が最大魔力まで回復できるようになっているようだが、師匠は妹さんを救うために使った【すくう】のひらがなスキルのせいで、最大魔力の概念そのものを奪われてしまったようだ。
【かんぱ】の解説によると、【すくう】を使用する前は、師匠にも最大魔力があったわけだから、もしかすると【
この可能性があるかもしれない、といったあやふやな答えなのは、まだ誰もそのひらがなスキルを手にしておらず、この世界のアカシックレコード(世界記憶)に示されていないから、ということだった。
「【かんぱ】、ひらがなスキルを多く取得できる方法は?」
『留、見つかりません』
「【かんぱ】、ひらがなスキルが取得できる間隔が広がっている理由は?」
『否、見つかりません』
この【かんぱ】のスキルは、AIのように直接、会話ができる。その言葉は、俺の脳に直接送られてくるので、第三者は聞こえないけれど。質問する場合は、口頭で尋ねる必要がある。
まず、「是」が肯定、「否」が否定、「留」が保留として示され、その理由を教えてくれる。
だから、ひらがなスキルを多く取得できる方法については、「留」だから見つかる可能性があるということを示し、ひらがなスキルが取得できる間隔が広がっている理由については、「否」なので見つからないことを意味している。
■□■□
といった具合で、俺の力だけ見れば、確かに順調に成長していた。
レベル30万オーバーは、間違いなく世界最高だろう。
ステータスも、全てのステータスが30万を越えている。というか、このままいけば、師匠が目覚めるときには50万を越えるはずだ。これも、世界の上位10人には入っているんじゃないかと思う。
5万の時に、上位100人だったからね。
だが……俺が望むものは見つかっていない。
師匠が示した三つの満月が揃うまで、残り時間は9日。
(どうする?)
俺は、ベットに寝転びながら考えていた。
今、行っている魔草抜きチャレンジ20,000本に要する時間は14時間。
毎日8時間の睡眠は確保しているので、心労はあるものの体調は悪くない。
残り9日間という限定だったら、まだ数時間は増やせる。25,000本までは、大きなリスクを増やすことなくチャレンジできるはずだ。
問題は…………
ひらがなスキルの生える間隔が広がっていること。
俺の目標は、レベルやステータスを上げることじゃない。
師匠を救うために必要な、「ひらがなスキル」を生やすこと。目標はそれだけだ。
いや、別に「ひらがなスキル」にこだわっているわけではない。普通のスキルで師匠が救えるなら、もちろんそれでいい。ただ、ひらがなスキルの方が、力が強いからそう思っているだけ。
俺は、レベル20ごとに一つのスキルが生えるから、レベルとステータスが増加しているのは単なる副産物にすぎない。
(どうする?)
【かんぱ】に「師匠を救えるスキルを確実に生やす方法」と尋ねても「留、見つかりません」と答えが返ってくるだけだ。「否」じゃないだけ、まだ望みはあるのだけれど……
俺は、必死に何かヒントがないかを考え続けていた。
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