弟のために性別を偽りエルヴァリア陸軍に入隊する純。その目的は一人の男を調査することだった。
男性兵士として入隊した先では、むせかえるような男たちとの同居生活が待っていた…!
というのは冗談…まああながち最初ら辺はそうでもないのだが、しかし戦闘が始まると様相は目紛しく変わった
一つ一つのシーンがドラマチックで、戦闘が始まる前はどこか感傷を感じさせながら、純の最初の任務が始まれば、既にいきなりクライマックス!
本格的な戦闘シーンや軍隊の動き方の描写、風を切るハウンド達が駆ける姿がカッコ良すぎます!
まだ一章を読み終えて少しですがタンジュン君ちゃんと同部隊の仲間たちがどのような関係を紡いでいくかとても楽しみです
序章の一文が、すべてを語っています。八歳の少女が劇場で映画を観ていた、その日に戦争が始まった。そして八年後、彼女はまだその映画の続きを観ていない——この構図だけで、純子が失ったものの重さと、それでも前へ進もうとする意志が一気に伝わってきます。
日本人移民とエルフの混血という設定が、第二次大戦期の日系人強制収容所の歴史と重なりながら、ファンタジーという形で描かれている世界観の重厚さが圧倒的です。差別、収容所、偽名、男装潜入——これだけの要素が、説明過多にならずに純子の「弟だけでも自由にしたい」という一点に収束している構成の巧みさに、作者の力量を感じます。
秋月敏郎という無愛想なエースが抱える傷、記録から消された作戦、白い風のパーソナルマーク——謎の置き方も絶妙で、読む手が止まりません。「鋼鉄の猟犬」が純子に初めて自由を感じさせるという展開は、彼女が名前も性別も奪われた存在だからこそ、十四トンの機械の中でだけ「自分」でいられるという逆説として美しく機能しています。朱実孫六さんの筆力が存分に発揮された一作です。
本作を読んでまず胸を打たれたのは、主人公・純の覚悟でした。
収容所で暮らす少女が、弟の未来のために髪を切り、男の名を名乗り、軍へ潜入する。その決断の重さが丁寧に描かれているからこそ、序盤から強く感情を揺さぶられます。
また、本作の魅力は男装潜入や軍事設定だけではありません。
移民二世が置かれた厳しい立場、戦争によって奪われた日常、少年兵たちの複雑な想いが自然に物語へ溶け込んでおり、世界そのものに確かな厚みがあります。
そして何より素晴らしいのが、ハウンドの存在です。
鋼鉄の四脚機動兵器でありながら、その走りには確かな生命感があります。主人公が初めてハウンドを目にし、心を奪われる場面では、こちらまで胸が高鳴りました。
これは単なるメカ戦記ではありません。
嘘の名前を背負った少女が、自分の居場所を探していく物語です。
純がこの先、何を守り、何を選ぶのか。その行く末を見届けたくなる作品でした。
まだ20話後半まで読んだ段階での感想です。自分の弟の未来を守るため、少女でありながら性別さえ捨て、参謀として派遣先の曹長を調査する物語です。
ただでさえ男性より体力面で不利な少女でありながら、一般人では到底耐えられない負荷の戦闘兵器に搭乗し、参謀の業務と並行して戦地へも送り込まれていきます。さらに性別偽装が発覚すれば全てが終わり。加えて主人公の姿は曹長の亡き戦友にも酷似しており、主人公を取り巻く状況はかなり厳しいものとなっています。
無双やざまぁ、令嬢ものなどの定番作品とは少し違う方向性の作品を探している方には刺さるかもしれません。
弟を救うために男になることを選んだ少女の物語は、序盤の収容所から殺伐とした緊張感と共に描かれていきます。
弟と別れる場面は胸を打つものがあり、純子から純へと名を変えるところは切実でした。
なによりこの男装は、物語を彩るためのただの装置的変装ではなく、そこには確かな覚悟があるところが心に響きます。
そして物語を彩ることになるのが、四脚メカの鋼鉄の猟犬。
この姿は妙にリアリティがあり、現代への警告とも読み取ることができゾクゾクするものを感じました。
純は男の姿で新たな環境で苦闘するのですが、元の覚悟を知っているのでつい応援したくなる。
それだけ世界観の造形と緻密な描写が優れているからこそ。
自分を押し殺して我慢を続ける純の姿が求めるのは、真の自由とその先にあるロマンなのでしょう。
まだ物語は途中ですが、部隊による活発な動きもあり、ハラハラドキドキで読み進めています。
重機関銃の音が届いてくるかのような臨場感、ぜひ多くの人にご堪能いただきたいです。
異世界移民という重厚な歴史的背景と、弟を想う姉の切実な決意、そして男装の少女兵という緊迫感あふれるガジェットが融合した傑作。
特筆すべきは、五感に訴えかける鮮烈な情景描写で、洗濯物を赤く染める砂混じりの風やトタン屋根のめくれる音、積み上げられた機蟲の腐敗臭といった退廃的な戦場の空気感が、読者を一瞬で物語の世界へと引き込む。
キャラクターの描き分けも秀逸だ。
冷徹で底の知れないハイエルフのキンケイド、優しげでありながらすべてを見透かしているかのような冬木、そして強烈なインパクトでコミカルな緊張緩和をもたらす高良など、内務班の面々との距離感にハラハラさせられる。