第1話「深夜のサーバー室」の冒頭から、主人公ヒロユキのキャラクターが一気に立ち上がる。
片手にダンベルを持ちながらパソコンに向かい、夜間ログの確認・伝送路監視・プログラム解析の三つを同時にこなす——このアホみたいな作業スタイルが、却って彼の卓越した能力をリアルに伝えている。「朝来たくないから夜に終わらせる」という動機も含め、人間味溢れるキャラクター造形が上手い。
感情を持つAIのコリンダーとのバディ感も最高だ。終電がないとヒロユキが告げた瞬間に「やった」と喜ぶ彼女と、奇妙な伝送路異常が起きた瞬間に一言もなく勢いよく押しのけてインターフェースに自分で繋ぐ彼女——同じキャラクターとは思えない振れ幅が、AIらしさと人間らしさを同時に持つコリンダーの魅力を見事に表している。
謎の「奇妙な穴」現象の引きも完璧で、次話が読みたくなる。