第三章:戻ろうとする物語

研究機関から貰った宮殿は、それはそれは立派なものでした。


大きな石作りの宮殿の中には、大理石を敷いた大広間があり、

たくさんの部屋には純金の椅子やテーブルが並べられ、

水晶のシャンデリアが天井から下がっていました。


家の後ろは立派な車庫もあり、高級車が収められていました。


とても美しい花々や実のなる木々がある大きな公園のような庭園もありました。

中央の池にはアヒルが、庭園にはシカやウサギが跳ねておりました。


そして、勿論、

宮殿の広間の中央にはヒラメの為の大きな水槽が用意されていました。




数カ月のレンタル期間が終わり、漁師の元にヒラメが帰って来ました。


ヒラメは漁師とおかみさんの宮殿を見て

「なんだか…話の流れが戻って来ている…のかも?」

と呟きました。


ヒラメが宮殿の水槽での生活になじんだ頃…


「ねぇ…ここまで来れたのなら、私…王様になれないかしら?」

とおかみさんが漁師に言いました。

「え?いや、それは無理だろう。

 しゃべるヒラメを使って…どうやって王様になれるのさ。

 大体、この国は王国じゃないだろう」

「でも…なんか…なれそうな気がするのよねぇ…」

と、おおかみさんは何かを思い出すかのように言いました。


その夜、漁師はヒラメに声を掛けました。

「なぁ、ヒラメ君…かみさんがおかしな事を言うんだよ。

 王様になりたいだとさぁ…」

「なんと!本来の話にもどりつつあるぞ…」

「ん?どういう事だ?」

「いや…だから…本当は、君が私を助けて、

 君はおかみさんの願いを次々私に依頼して、私がそれをかなえ続け…」

と話し出すと、またまた漁師は笑いながらヒラメの言葉を遮ります。

「何言ってるんだい。

 いくらしゃべるヒラメでも、そんな魔法みたいな事が出来る訳、ないじゃないか」

と大笑いを始めました。


「いやぁ、夜遅くに悪かった。まぁ、かみさんの戯言だ。

 気にしないで、ゆっくり休んでくれ」

と、ヒラメの水槽から離れて行きました。


ヒラメは漁師の背を見ながら呟きました。

「まだ、戻らぬか……」



つづく~第四章へ~




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