概要
傷んだ花びらを摘むように、少女は止まった時間をほどいていく。
後宮で花を扱う花寮に入った十六歳の少女・小鈴(しゃおりん)は、ある日、寵愛を失った妃が暮らす離れの宮、花殿へ白蘭を届ける役を任される。そこは、届けた花がなぜか長持ちしないと噂される場所だった。門前で侍女頭の杏華に拒まれながらも、小鈴は傷んだ花びらや古びた花入れが気になってしまう。花農家育ちの小鈴は、花の水を替え、器を整え、余った花びらで花茶を作り、少しずつ花殿の空気を変えていく。やがて、静かに心を閉ざしていた蘭妃、勝ち気な幼い皇女・曜、そして厳しい杏華とのあいだにも、季節の花を通して小さな交流が生まれていく。花を愛する少女が、閉ざされた後宮の片隅で、止まっていた時間と人の心をそっと咲きなおしていく物語。
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