第37話 東南合併国ライン跡地-⑨
私、死んじゃうんだ。ナミを恨みつつ、魔法が徐々に近づくのを待っていた。
魔法が当たると思い目を瞑るが、あれ?生きてる…?
私はゆっくり瞼を開いた。私、生きてる……。なんで?魔法が急に切れた…?そんなはず…。
「俺は人を殺さない派なんですというかそういうのは反対というか…。」
「じゃあ直前で魔法を解いたんですか…?」
私は唖然としながら聞く。だって、敵じゃん……。戦力である元勇者の指を落としたよ……?私……。
「そういう事です。申し訳ないですけど、あなたを拘束させてもらいますよ。」
「え、えぇ…。」
私は思わず間抜けな声を出してしまった。
難南〈壱ノ要塞〉エヌVS護衛騎士団副団長〈旋風〉シン・ジェクト
勝者、護衛騎士団副団長〈旋風〉シン・ジェクト
「火の精霊よ。僕に力を。」
辺りを飛ぶ精霊の一匹がナミの剣に近づく。
「魔法付与。炎奏(えんそう)。」
ナミの剣が炎に包まれた。
「お前…セコイ真似しやがって……!」
俺は剣の振りを必死に避けながら、攻撃の隙がないか探す。
よしっ!心のなかで呟きながら、俺は一気に後ろに下がった。
「四象景律(ししょうけいりつ)、所(ところ)。」
「炎奏……」
「四島(しま)のかけ橋。」「フォルテッシモ。」
俺とナミの声が重なる。ナミの攻撃を俺は全力でカウンターした。
「流石は勇者なだけありますね。ですが、まだまだ劣る。」
俺とナミは互いに後ずさる。
「俺と同等の力でそんな事がよく言えたもんだなぁ!」
俺は体制を立て直し深く深呼吸をする。
「三連雅(さんれんが)。静謐(せいひつ)。」
俺は静かに剣を振った。するとナミの剣に付与されていた炎が斬れる。
「そんな力があったとは……まだ油断できませんね。」
「俺今さ、剣を壊そうとしたんだけど…。炎が斬れるって何だよ……。」
「それって今、関係ないですよね?そもそも戦闘に無駄な会話は……」
「悪いけど、俺は殺し合いしに来てるわけじゃねぇんだわ。」
俺はナミの言葉を遮り言った。
「お前と話しに来た。まだ諦めてないんでね。対話。」
「確かに武力での解決は良くないですね。でも、後戻りはできません。ここまで来たなら思う存分殺し合いましょうか。」
「そういう感じか。剣での対話は本当にうまくいくのか?」
「僕はもう、あなたに貸す耳を持ち合わせていません。」
俺とナミは再び向かい合い剣を構えた。地を蹴り剣同士がぶつかった。
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