第33話 東南合併国ライン跡地-⑤

あ゙ークッソ…コイツ……


「バカ速いな……。」


「頑張ってくださいよ!楽しめるんじゃないんですか?!これでも非力なほうなんですが?!」


コクロの素早い動きと攻撃、ナミの魔法によりシオンは着実に削られていたが東西戦線以降、シオンは何もしていないわけがなかった。


「言ったろ……これからだって!!」


俺は一気に地面を蹴った。そしてコクロに一撃を入れる。


「動きが急に速く…?!」


シオンには絶加はない。魔法の才もない。それでも魔力はある。


『魔力強化』

いわば、武器への魔法付与を応用。体内の魔力を全身に行き渡らせる事により、身体能力を大幅に向上させた。

今のシオンは全盛期と同等、あるいはそれ以上の力を有していた。


「確かにここからのようですね。」


コクロから黒い羽根が生え、空を飛び始める。


「速度によって力は変動する。知っていましたか?」


とてつもないスピードで空中から落ちてくる。


「じゃあ、そのスピードとやら受けてやろうじゃねぇの。」


コクロは大剣を俺は剣を構えた。


「「四象景律(ししょうけいりつ)……!」」


「巡(めぐり)。これが元勇者の剣技だ存分に食っとけ。」


「楽しみだなぁ!!節……」


コクロが落下直前、四象景律を使用する前にコクロを斬った。すると、「カサカサっ……!」と背筋が凍るような音がした。


「まだいけるぜぇ………」


コクロは真っ二つになりながらも、カサカサと音を鳴らしながら近づく。


「これかr……」


突如目の前のコクロが潰される。俺の身長を優に超えていたはずなのに跡形もなく。


「すいませんね。しつこい奴で。」


コクロを潰したのは、白衣を着た小さな女の子だった。だがその言葉遣いはとても大人びていた。


「私は難攻不落南ノ軍勢、参大要塞が一人。壱ノ要塞エヌ。どうぞ、よろしくお願いします。先程は参ノ要塞がお世話になりました。」


エヌと名乗った少女?は白衣から手を出しお辞儀をした。


「さっきの男とは打って変わって今度は可愛らしい子が来たな。」


俺は冗談混じりに休憩時間をとる。


「可愛らしいとは……うふふ、嬉しいですっ。ですがお話はいりません。始めましょう。」


難南〈壱ノ要塞〉エヌVS〈元東の勇者〉シオン










「アズマ君、リン様。作戦の変更を行ってもよろしいですか?」


馬車内でコウさんが口を開いた。


「ユイガ様の所に行くのですか?」


リンは心配そうな顔で聞いた。


「はい。この後のことは君たちに任せます。さきの戦争で我が国を勝利に導いた君たちなら出来ます。」


コウさんは温かく、熱い眼差しで俺らの目を見つめた。


「分かりました。俺達が何とかします。」


「アズマ君、ありがとう。それと、あの約束通り南の勇者と遭遇すれば戦えばいいよ。本気でぶつかり合えば、思いは届く。逆に言えばぶつからなければ、何も変わらない。人生においても、戦争においても。」


コウさんは笑う時ヘラヘラした感じで作り笑いをしている感じだったが今はとても温かかった。


「最後に一つ助言というか一つ残そう。勝負は自身の感情と環境に左右される。自身の感情と向き合い、常に状況判断を怠らないように。では、健闘を祈る。」


そしてコウさんは一枚の紙を手渡した。


「あ、あの!ユイガ様の所、わかるんですか…?」


リンが声をかけた。確かに分断してから相当進んでいたし……分かるのか?


「心配する必要はない。盤面はほとんど"視えている"。」


第二支部長〈天才軍師〉コウ。この時、二十八歳。


         絶加は無し


環境を視て計算し状況を判断する。


彼は驚異の集中力・計算能力により現在のイースト軍の大まかな立ち位置を見積もった。


 その誤差、僅か……

         

         一(いち)パーセント弱である。





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