第11話 愛する者へ誓うことは…。

「オラオラ!そんなもんか?!」

俺は外で二十六代目東の勇者シオンと戦っていた。流石は終戦寸前まで持っていった勇者なだけあって経験も技量も圧倒的にシオンが上だった。

「さっきまでの威勢はどうした?これが新しい勇者だなんて失望した。そんなんで国民を守るってのか?ただの綺麗事じゃねぇか。」

「うるせぇ!」俺は砂を投げ目眩ましにする。

この間に回復を…。

「目眩ましなんざ意味ねぇよ!」シオンが突っ込んでくる。力、強すぎだろ…。

「四象景律(ししょうけいりつ)-所(ところ)…。」

俺は師匠の教えを思い出す。


「所の四島(しま)のかけ橋。前のやつは詠唱みたいなもんなんですよ。だがら技を磨けば、いちいち言わなくても使えるようになりますよ。」


今の俺に出来るかは分からない。けど…出来れば今後も役に立つ…!

「四島のかけ橋…!」俺とシオンの間に橋がかかった。

「四象景律か…。懐かしいな。」シオンは嘲笑うように言った。

「四象景律-節(せつ)、冬凪(ふゆなぎ)。」シオンの剣の周りに冷気のようなものが出始める。

「冬凪ってまさか…四象景律の最難関技の…?!」リンが驚く。

「ご名答。流石スターリン様ですね。」かかった橋が凍っていく。

「嘘だろ…?」

「残念。お前の負けだぜ。」シオン一歩一歩丁寧に歩みを進めていく。それはまるで勝利を確信した狩人のように…。

まだチャンスはある…!

「四象景律-節!冬凪!!」俺は剣を構え踏み込む。シオンは驚いた顔を見せた。

「おらぁぁぁぁぁ!」俺は思いっきり剣を振りかぶる。

「ここまでやるとは驚いた。多少はできるんだな。だがお前はここまでだ。」

は…?ここから打開なんてできるはずないだろ…?

「四象景律・巡(めぐり)。」

聞いたことのない技だった。その技はとにかく美しく、どこか寂しげな…。

「そんな技隠し持ってたのかよ。それは俺もだけどな…!」止められ、跳ね返された剣を再び構える。

「三連雅(さんれんが)・序。静謐(せいひつ)。」俺が■から教わった技。三連雅とは序、破、急の三つを繋げる。とある勇者があみだしたが受け継がれなかったものらしい。序、破、急はそれぞれ一つの技としても使うことができる。

俺はただ、剣を素早く振り下ろした。

「グハッ!やるじゃねぇかクソガキ。」シオンはその場で倒れ込んだ。



《シオンさんっ…貴方はお強い方です…。だから大丈夫…。イーストのこれからと妹達そして…。》腹に穴が空いた美少女が俺に話をしていた。

これは…夢か?あぁ…!だめだ!俺は…約束したんだっ…!"絶対"に戦争を終わらせて二人で幸せに…暮らすと…!

「次世代の勇者をお願いしますね…。」

駄目だっ…!頼む!誰か助けて…。

美少女はゆっくりと目を閉じ、目を開けることはなかった。



「カナレ…?」シオンは目を覚まし誰かの名を口にしていた。

「アズマ!シオン様が目覚めました!」

「よっ。シオンさん。てか、なんで泣いてるんだ?」シオンさんは何が起きていたのか分かってないように目を見開き、ひたすら涙をこぼしていた。

「あ…?俺…あぁ、そうか夢か…。」シオンさんは涙を拭き頭をポリポリとかきながら言った。

「お前の名前は…アズマだっけ?さっきはすまなかった。俺はお前らに協力するよ。」さっきまでの凶暴さは嘘みたいに消えていた。

「俺もすいませんでした。色々失礼なこと言っちゃって。でも、本当にいいんですか?」

俺はシオンさんが気を失っている間に何があったかリンから聞いていた。それは本当に酷い話で俺が人の心がないクズなのではないかと感じてしまうほどに失礼なことを言ったなと思った。

「気にするな。俺は彼女の、カナレの最後のお願いを忘れてしまっていた。」

「シオン様。ありがとうございます!」リンはシオンさんに頭を下げたため続いて俺も頭を下げた。

「こちらこそありがとな。悪いが今日は一人にさせてくれ、明日冒険者ギルドで待ってる。」シオンさんは俺らの頭を撫でて言った。

「分かりました。」

「ではまた明日!」俺らは医務室を後にした。



「カナレ…すまなかった…。これからちゃんとするよ…。君の守りたかったものを終わらせたかったものを全部。ケリをつけるよ…。」

俺は再び涙を流しながら天に移り住んだ愛する人へ誓った。



「アズマ様!リン様!シン殿が戻られました!」一人の兵士が知らせに来る。

「それは本当ですか?!」リンは目を見開いた

えっと…。戻ってきたってことは…師匠が…?!

「アズマ!行きましょう!」

「あぁ!」



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