第4話 名前
「遂にこの日が来ましたね!アズマ様!」
美しい瞳を輝かせながらリンは言う。
「そうだな。」と俺は一昨日陛下から貰った勇者の補加を確認しながら応える。
勇者専用補加、アビリティ。攻、魔、速、防、運の五つに分かれていて、魔物討伐によりポイントが貰えそれを自由に振り分けていくものらしい。最初に五ポイントが支給されているのだが、俺はどれに割り振るかをまだ悩んでいた。
「それって勇者専用の補加ですよね?どれにするんですか?」悩んでいるとリンがアビリティの画面を覗いてきた。どうやら他の人にも見ることができるらしい。
「まだ悩んでてさ、どれがいいと思う?」なんとなく聞いてみる。
「最初は全部均等に割り振るのもありだと思いますよ。もしくは今日、戦ってみて自分の戦闘スタイルを理解してから再度考えるでもいいと思います。」
そっか…。これは勇者だけのものだから最初の方は案外行けるか…。
「じゃあ、今日戦ってみてから決めるよ。ありがとな!リン!」
「お役に立てならよかったです!」
「準備もできたみたいですし皆さん行きますか!」すると、一人の男が口を開いた。この人は護衛騎士団副団長の…なんだっけ…?
俺…、一応この人から剣教わってんだよな…。
「はい!行きましょ!行きましょ!」リンは先頭を切って、ダンジョンに入って行った。
「魔法使いって後ろじゃないんですか…?」俺は副団長に聞く。
「ははは…そうですね…。でもリン様はお強いですし、何よりも今日を楽しみにしていたんですよ。アザミ様とダンジョンに行ける!って。」副団長は優しい笑顔で答えた。
「そうなんですね。」リンのあとを俺たちは続いた。
「あれ?思ったより明るい。」ダンジョンに入り俺達は五階層までの攻略を進めていた。
「そうなんですよ。ダンジョンには踏破済みの六十階層まで自動で灯りがつく、魔法が使われていますからね。」師匠が教えてくれた。
「いやぁ~、それにしても懐かしいな〜。俺もよく行きましたよダンジョン。」
「へ〜。師匠は何階層までクリアしたんですか?」
「俺は三十一階層ですね。それと、俺は師匠と呼ばれるほど剣を教えることができてませんよ。だから名前で構いません。」
名前でいいと言われても…名前を忘れたんだよな…。
「お二人とも、来ましたよ!」困っていると、魔物が現れたようだ。助かった。
「俺が行きます!」あくまで俺の修行なので、俺が先陣を切る。
意志を汲み取ってくれたのか「頑張ってください!」と二人が言ってくれた。
俺は国一番の鍛冶師から貰った日本刀に似た剣を構え一気に踏み込み、魔物の首を斬った。すると、魔物は灰になっていき色の付いた石、通称魔石を落とした。
「やりましたね!アズマ様!」俺はリンとハイタッチをする。
「とてもいい剣でした。」と師匠も褒めてくれた。
その後も順調に進んでいき、俺達はフロアボスの部屋までたどり着いた。
「この先に、フロアボスがいます。まだ一階層ですが、油断せずに行きましょう。」
「うっす。」「かしこまりました。」俺とリンは返事をした。
そして師匠は巨大な扉をゆっくりと開けていった。
「グゥォォォォォォォォ!!!」なかに入った途端、巨大なゴブリンが咆哮を上げた。
「あれはハイエストゴブリンです!ゴブリンの中でも上位種ですので気をつけて!」
なるほど、デカいゴブリンね。
ゴブリンがバットのようなものを高く上げ攻撃しようとする。俺は走り込み後振の背中に斬撃を入れる。が、さすがのフロアボスだ、そこまでダメージが入っていないように見えた。
「師匠!さすがにあれ!使っていいでしすよね!」一応師匠に確認を取る。
「もちろん!存分に見せてください!それと名前でいいですよ!」だから、名前を忘れたんだって…。
よし、やるか。気を取り直して気合を入れる
「イースト、四象景律(ししょうけいりつ)-所(ところ)。」
四象景律とは花(はな)、節(せつ)、時(とき)、所の四つからなるどの国でも継承されている剣技。だがそれぞれの国で技の性能は異なる。
「納沙布(のさっぷ)、金刀比羅(ことひら)、珸瑤瑁(ごようまい)。四島(しま)のかけ橋…!」俺は剣を鞘に収め、腰を落とし唱えた。すると、部屋の床に水面が広がっていき橋がかかった。
「グゥォォォォォォォォォォォォ!!!」自分の部屋が変わったのが許せなかったのかゴブリンは咆哮をあげこちらへと向かってくる。橋を渡った瞬間、反射的に身体が動く。
「居合!」そのまま、ゴブリンを斬った。
ゴブリンには切り込みが入り血を全身から吹き出した。
よし、上手くいったな。
「あれ?今の技は橋を渡った瞬間に自動的に結ばれていた平和条約を破ったことになり相手を斬り落とすって技じゃ…。」師匠が戸惑う。
こんなんが相手なら必中技だもんな。だけど、今のはあえて斬り落とさなかった。これにより…。
「イースト四象景律-所。納沙布、金刀比羅、珸瑤瑁、四島のかけ橋。」
「もう一回だぁ!」再びゴブリンの全身から血が吹き出す。
「あ!あれわざとですよ!」するとリンが気づく。
「なるほど!でもなんで…?」師匠も遅れて気づき疑問を口にする。
そんなの決まってる…!
「練習台になってもらうぞ…!」それもあるが、もう一つ。出来るだけ苦しめてから殺したい。ただなんとなく、苦しませてから殺したいそう思った。
「イースト四象景律-所。納沙布、金刀比羅、珸瑤瑁、四島のかけ橋…!」
三回目の斬撃が入る。だがゴブリンはもう限界だったようで体が崩れていった。
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