理解できない状況ながらも、不思議と惹かれる世界観でした。
タイトルが「黄泉路」とあるように、この世界を旅をしている主人公たちもまた死んでいるのだろうというのは推測できるのですが、だからこそなのか、静謐なまでの穏やかさが読み手の思考までも冷静にさせてくれます。これがとても心地よい。
ある程度部分的な推測はできるものの、結論も答えも出ない。けれど、前述した雰囲気に凪いだ思考が、作中の登場人物と一緒に、色んなことを重ねて見てしまう。読み手視点ならば、さらにメタ的な、あるいは暗喩的なやり方で。
管理者は勿論、ヨネザキさんの奇異さも、理解はできないのに、推測はできるし、理解できなくとも不思議と不快感はない。ただ冷静に読み手の中の「何か」と重ね合わせているのかもしれません。でもきっと正解じゃないし答えは無い。それでいい。冷静な向き合い方の方が大事という気がします。
タイトルは「黄泉路」、寝所で眠る死体、旅しているようでそれほど離れてもいないという推測、鍵、そして「ただいま」と、最後はシンプルなところに着地するのもまた良かったです。