第21話 報いと初めての痛み

 リアを失い、脚を失ったカイルは、ただの惨めな男に成り下がっていた。

「アルト! 助けてくれ! 俺が悪かった、魔法で治してくれ!」

 カイルが這いつくばってアルトに縋りつく。だが、龍はその隙を見逃さなかった。龍の牙が、カイルの胴体を真っ二つに食いちぎった。

「ぎ……あ……あ……」

 カイルは即死しなかった。彼は自分の内臓が雪の上にぶちまけられる光景を見ながら、激痛の中で絶命した。

 アルトはそれを、ただ呆然と見ていた。

 そして、その瞬間。

 全身を貫くような、焼けるような、そして引き裂かれるような「激痛」が、アルトの脳を直撃した。

「が……あ、あああああああ!!」

 アルトは雪原でのたうち回った。

 粉砕された左腕。焼けた背中。抉られた脇腹。これまで「蓄積」されていたすべてのダメージが、リアの魔法によって一気に『感覚』として解放されたのだ。

 これまでの二十数年間、彼が「痛くない」と言って笑ってきた代償。

 それは、地獄を凝縮したような苦痛となって彼を襲った。

 涙が止まらない。鼻水と血が混じり、視界が歪む。

「痛い……痛い痛い痛い痛い!!」

 アルトは初めて叫んだ。ルカが、テオが、最期に感じていたのはこれだったのか。自分は、こんな恐ろしいものを自分に仲間に押し付けて笑っていたのか。

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