第18話 龍と終焉の始まり
標高四千メートル、酸素の薄い山頂付近。龍の咆哮が空を震わせ、大気が物理的な圧力となって押し寄せる。アルトの体は低温によって感覚がさらに麻痺し、もはや自分の腕がどこにあるのかすら判別できなくなっていた。
「来るぞ! アルト、前へ!」
カイルの号令と共に、雲を切り裂いて巨大な影が舞い降りた。古龍の幼体だ。その美しくも禍々しい鱗が、夕日に照らされて赤く輝く。アルトは迷わず突っ込んだ。龍の爪が、アルトの盾ごと左腕を粉砕した。バキバキという音が響くが、アルトは止まらない。折れた腕を龍の指に絡ませ、動きを封じる。
「今だ……!」
アルトが叫ぶ。だが、その隣で。
アルトを模倣しようとしたテオが龍の逆鱗に触れ、無謀にも剣を振り上げた。
「僕だって……痛くないんだ……!」
少年の虚勢は、龍の吐息によって一瞬でかき消された。
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