読了したので書きます。
正直な言葉だからこそ共感を覚える。『悪口を言うときだけ元気な件について』という作品にはその印象を抱きました。
凄絶に、大胆に、大声で訴えてはいない。ただ淡々と、ポツリポツリと小さな声で呟くように文章が書かれている。それが静々と、滔々と書かれているからこそ読んでいて自分の内側に染み込んできます。
悪い記憶をダメなもの、封印しておきたいものとして片づけない。清濁併せ吞んでいるのだと感じられる書き方に、創作活動へ真摯に向き合っていると感じました。
自分の作品や作風に悩みを抱えている方。
そんな方に読んで欲しいと思う作品だったので書くことに決めました。
体の不調や人間関係の傷、周囲に理解されにくい悩みが、とても正直な言葉で綴られていて、静かに胸に残るエッセイでした。
印象的だったのは、つらかった記憶を語りながらも、それをただ誰かへの攻撃として書いているわけではないところです。怒りや悔しさを抱えながらも、自分自身の弱さにも触れ、少しずつ言葉にして整理しようとしている姿勢に、誠実さを感じました。
また、このエッセイからは、作者様が物語を書く出発点の一つが見えてくるように思います。明るく片づけられない感情を無理に綺麗ごとにせず、言葉にしていくところに、この作品の切実さがありました。
傷ついた記憶を、創作へとつなげていこうとする静かな強さが残る一作です。