『EWIG(エーヴィッヒ)』の外伝にあたる本作。本編で個人的に一番大好きだったキャラクター・ヴィラン様の過去が描かれているということで、夢中で読み切りました!
本編を読みながら「なぜ芸術家のはずの彼女が、剣の腕も立ち、さらには軍略まで完璧にこなせるのか?」と不思議に思っていたのですが、本作を通してそのルーツや背景を深くうかがい知ることができ、非常に腑に落ちると同時に彼女の魅力がさらに増しました。
そして、個人的な本作の「一押しシーン」は、あの気性が荒くかっこいいヴィラン様がまさかの『お姫様抱っこ』をされる場面です。
もちろんキャラクターの深掘りだけでなく、『EWIG』本編と同様に「重厚な戦記物」としての面白さも健在です。知略や戦術の応酬、水面下で渦巻く陰謀や権力闘争など、戦記ファンが求める要素が詰め込まれており、外伝でありながら圧倒的な読み応えがありました。
本編のファンには絶対に読んでほしいですし、重厚な戦術戦記や、強くて魅力的な女性キャラクターが好きな方にも強くおすすめしたい作品です!
EWIGを読んだ時に、ヴィランはなぜ若くしてこの地位にいるんだろうと不思議に思っていたら、本作の最後に明らかになり、2作を通して考えていた私の謎が気持ちよく溶けました。
しかも、最後の「さあ、お掃除の時間じゃな」が爽快で、「やっちゃってください」とも思いましたが、それがまたEWIGに戻ってくるんだなと思うと、どちらを先に読むかで印象も変わったかなと思いました。
個人的には第28話が一番心に残り、もしかしたらヴィランという人の根本を見ることができたからかもしれません。
きっと私は、この作品やEWIGを読んで、登場人物の過去や今を行き来することで、その人たちの深みにハマってきているのかもしれないです。
腐敗が進み、六大卿の空位が五年も放置された聖都リザルト=レイヴンに、三万の軍勢が迫る――
そんな黄昏の空気が物語全体を包み込みます。
頼るべき軍事総監は不在、派閥争いで会議は進まず、国運が揺らぐ中で皇母が選んだのは宮廷の誰でもない、離宮に引きこもる異端の女芸術家ヴィラン。
傍若無人で飄々としながらも、亡きラーデンブルク公が唯一その才を認め、名も責任も託した弟子である彼女が、崩れゆく聖都の命運を背負う展開は胸を打ちます。
芸術家でありながら戦記の中心に立つ彼女の姿は、継承とは何かを静かに問いかける。
外敵と腐敗が同時に迫る中、遺志を継ぐ者が黄昏の聖都を守る継承戦記です。
権力者たちの派閥争いと外敵の進軍という二重の危機の中、皇母が最後に頼ったのが宮廷の誰でもなく、離宮に引きこもる気まぐれな女芸術家だったという選択の意外性が、この物語の出だしを強く印象づける。
ヴィラン=ウィーグという主人公の造形が秀逸で、傍若無人で気が向かなければ絵も描かないという破天荒さと、亡き師がただ一人才を認めた継承者という重みのある背景が同居している。豪快な目覚め方や小姓とのテンポの良い掛け合いに見られるユーモアと、六大卿の腐敗・派閥争いという重厚な政治劇が同じ世界の中で違和感なく溶け合っているのが巧みだ。派手な戦闘の連続ではなく、人間の心がいかに国を腐らせ、また救うのかを静謐に描く構成も光る。
連載中・全34話と進行中だが、「証書」「撃退」と続く章立てから察するに、聖都を守るための戦いはすでに本格化している。気だるさすら魅力になる主人公の継承戦記、続きが気になる一作だ。
いわゆる前日譚に位置する外伝ですが、本編に負けず劣らずの読み応えがありました。面白かった〜!
宗教共和国が戴く皇母の虎の子、芸術家ヴィランはダウナーな飲んだくれおねえさま。
傍若無人に周囲を翻弄するトリックスターのようでいて、その実、道を見誤らないまっすぐな心を秘めています。
本編でも魅力的でしたが、主役を張るとより強い。好きです。
圧巻の戦闘描写もさることながら、立体的なキャラクターたちが織り成す人間模様も見どころです。
誰しもに理想があり、信念があり、立場があり、守りたいものがある。
打ち倒すべき“敵”って、いったいなんなのでしょう。
答えはひとつじゃないし、そうそう出せるものでもないけど、考え続けることは止めずにいようと改めて思えました。
ヴィランがヴィランだったからたどり着けた結末を、ぜひ見届けてほしいです。