本作品は以前投稿されていた「EWIG(エーヴィヒ)――帝国騎士と病床の白髪の友が織りなす、戦乱を生き抜く長編戦記」の外伝に当たり、「EWIG」の主要登場人物であったラーテンブルク公ヴィランの若かりし頃を描いた作品となります。
宗教国家ラヴァ正教国にあって、孤児であったヴィランがいかにして血統によらず、ラーテンブルク公という地位についたのか。気まぐれで、それでいて高潔な一人の女性が、歴史の主役の一人として躍り出てくる姿を生き生きと描いています。
なお、「EWIG」本編同様、作者が18歳の時に執筆された作品ですが、非常にこなれた文章で読みやすく、主人公ヴィランのキャラと相まって没入できる作品となっています。これを18歳で書いたとは作者恐るべしです。
ぜひ皆様もご一読ください。
春の光と微睡みの空気が丁寧に描かれ、冒頭から読者を穏やかな世界へ誘う一方で、ヴィランの豪快な目覚め方が物語に心地よいユーモアを添えていました。
小姓の少年との掛け合いはテンポが良く、二人の関係性が自然に伝わり、ヴィランの気まぐれさと少年の苦労が微笑ましく感じられます。
ヴィランの外見描写は非常に魅力的で、男装の麗人としての存在感が強く、読者の印象に深く残るキャラクター造形でした。
また、皇母リザルト=レイヴン四世やラヴァ正教の背景が丁寧に説明され、世界観の厚みと政治的な緊張感が物語に奥行きを与えています。
全体として、美と権力、気まぐれと責務が交錯する舞台が鮮やかに立ち上がる導入で、これからヴィランがどのように物語を動かしていくのか期待が高まる話でした。
このお話は、腐敗した聖都と形式化した軍事力に揺らぐ宗教共和国で、異端の女芸術家が、老教皇の心を支えつつ、騎士たちと外部勢力の「本気」を暴き出していく戦記物語です。離宮では、皇母に寵愛されながらも仕事をサボる気まぐれな宮廷画家が、実は超一流の剣士であり冷徹な現実認識を持つことが、森での襲撃事件を通じて明らかになります。皇母帰還の途上、王国の一行が馬車を止められ、騎士たちは実戦経験のなさから敗北してしまいます。しかし彼女は圧倒的な剣技で敵味方双方を制し、「正義なき力は暴力」「力なき正義は無力」と騎士道の空洞化を喝破し、敵を捕虜として聖都に連行する道を示します。また他国軍による聖都陥落の前兆が… さあ、亡き師の遺志を継ぐ彼女はどのような人生を紡いでいくのでしょう。つづきはみなさんでぜひ。