第9話:元パーティ女、普通に強すぎる件
「奪う……ね」
俺は苦笑しながら、銀髪の女を見る。
「物騒だな」
「冗談よ」
そう言いながらも、彼女の目は全く笑っていない。
『絶対冗談じゃないやつ』
『目がガチすぎる』
アカリが一歩前に出る。
「やめなさいって言ったはずよ」
「別に何もしてないわ」
銀髪の女は肩をすくめる。
「ただ“見たい”だけ」
「何を?」
「この人の実力」
その言葉に、空気がピリつく。
『きたあああああ』
『検証2回戦』
『これは神回』
「……どうする?」
俺がアカリに視線を向ける。
アカリは少し考えて――
「……一回だけよ」
「いいのか?」
「ええ」
彼女は銀髪の女を睨む。
「ただし、無茶はしないこと」
「分かってるわよ」
そして、銀髪の女がこちらを見る。
「じゃあ、軽く試させてもらうわね」
「軽く、ねぇ……」
正直、全く軽そうに見えない。
「場所を変えましょう」
彼女はダンジョンの奥を指差す。
「少し強めのエリアで」
『絶対軽くじゃない』
『殺しにきてて草』
数分後。
中級ダンジョンの広い空間。
「ここでいいわ」
空気が、重い。
さっきまでとは明らかに違う。
「ルールは?」
「シンプル」
銀髪の女は指を一本立てる。
「私とあなたで、同じ数のモンスターを倒す」
「タイム勝負か」
「ええ」
「負けた方は?」
彼女は少しだけ笑う。
「勝った方のお願いを一つ聞く」
『賭けきたああああ』
『負けたら加入確定だろこれ』
「……いいな」
「決まりね」
その瞬間。
「ギィィィィィ!!」
モンスターが現れる。
3体。
「じゃあ、スタート」
言った瞬間。
「――っ!」
銀髪の女が消えた。
「は?」
次の瞬間。
ズンッ
一体目が、崩れ落ちる。
「……速っ」
『なに今の!?』
『瞬間移動!?』
彼女の動きは、アカリとは違う。
もっと“鋭い”。
無駄が一切ない。
「へぇ……」
二体目。
一閃。
首が飛ぶ。
三体目。
「終わり」
一瞬。
全滅。
「……は?」
『強すぎるだろwww』
『Sランク確定』
彼女は振り返る。
「ほら、あなたの番」
「……やるな」
正直、かなり強い。
アカリと同格――いや、もしかすると。
「でも」
ナイフを構える。
「負ける気はしない」
【スキル発動:《確率支配(バグ)》】
世界が変わる。
「……見える」
モンスターの動き。
最短ルート。
すべてが“確定”する。
「行くぞ」
一歩。
回避。
一撃。
二体目。
踏み込み。
一撃。
三体目。
最小動作。
――ザシュッ
静寂。
「……」
『はやっ!?!?』
『同じくらいじゃね!?』
タイム表示。
【銀髪:3.2秒】
【ユウマ:2.1秒】
「……え?」
『え?????』
『ユウマ勝ってるwww』
銀髪の女が、目を見開く。
「……今の、何?」
「さあな」
俺は肩をすくめる。
「運が良かったんじゃないか?」
『もうそれ通用しねぇwww』
『完全に能力』
彼女は、じっと俺を見る。
その目にあったのは――
驚きと、興奮。
「……面白い」
ゆっくりと笑う。
「やっぱり、欲しいわね」
「……人聞き悪いな」
「だって」
一歩、近づく。
「こんな逸材、見逃せるわけないでしょ?」
アカリがすぐに割って入る。
「……ダメよ」
「どうして?」
「彼は――」
「あなたのものじゃない」
一瞬、空気が凍る。
『修羅場きたああああ』
『バチバチで草』
銀髪の女は、少しだけ笑う。
「そうね」
そして、俺を見る。
「でも」
一瞬の間。
「そのうち、奪うわ」
「……物騒だな」
「本気よ」
その目は、冗談じゃない。
「で?」
彼女は手を差し出す。
「約束、覚えてる?」
「……ああ」
勝者のお願い。
「何でもいいのか?」
「ええ」
少し考えて――
「じゃあ」
俺は言う。
「名前、教えてくれ」
一瞬、意外そうな顔。
そして、ふっと笑う。
「……変わってるわね」
そのまま、答えた。
「セラよ」
「セラ、か」
「ええ」
彼女は、少しだけ楽しそうに言う。
「覚えておきなさい」
「“次は負けない相手”として」
コメント欄、爆発。
『ライバル確定』
『第二ヒロイン強すぎる』
『人気出るやつ』
こうして――
俺の周りに、また一人。
厄介で、強い女が増えた。
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