新人人形師《ドールマスター》の私、落ちこぼれの魔術人形部隊を任されました!

ポーリュシカ

第1話 ユフィリア・アストライア、着任!

「ユフィリア・アストライア。君を第404特務小隊に配属する。」


軍学校に併設された王国の軍事基地にて。基地司令のドラコニア・ブラッドレイ司令官が私にそう告げる。


「はい!」


それに対して元気よく返事をする私。この時の私はまだ知らなかった。まさかあんなことになるなんて…。


―――――――――――――――――――――――――――


ぶぅぅぅぅん、とエンジンと共にプロペラが回る音で私は目が覚めた。

窓の外を眺めると降り積もった粉雪のようにふわふわとしていそうな雲が広がっている。


私の名前はユフィリア・アストライア。平民出身のくせして、軍学校を首席で卒業した超エリートな女の子だ。

そんな私を見込んでか、基地司令は私にエリート部隊を任せてくれた。いやぁ…。貴族たちの嫌がらせに頑張って耐えたかいがあったなぁ、と思う。


そんなことを考えながら、私はバッグからクリップでまとめられた一束の書類を取り出す。私が配属されることになった「第404特務小隊」について記載されたものだ。パラパラと書類をめくると、部隊に所属している魔術人形たちが載っていた。配属されることが決まってから何回も見たページだが、改めてもう一度読んでみる。


「09式少数量産型魔術人形Ritter/custom」

王都防衛用に開発された魔術人形「Ritter」を局地戦仕様に改造したカスタムモデル。


「23式試作型魔術人形Aegis」

高い防御力で数々の戦線を押し上げた魔術人形「Aegis」の試作モデル。


「77式火力支援型魔術人形Seraph」

魔眼による索敵と、広範囲における火力支援を目的とした新型の魔術人形。


この三人が404小隊の魔術人形たちだ。見た感じ、みんな高性能なモデルばかり。

新人に任せる娘たちじゃないと思うけど、まぁ私はエリートだし?基地司令もそれを理解していて私をここに配属したのだろう。いっつも頭が固い頑固おやじだとおもっていたけれど、たまには良いことするじゃん!


そうこうしているうちに飛行機は着陸態勢に入っていたらしく、機体が大きく揺れる。その揺れにびっくりして、書類を落としそうになるもギリギリでキャッチした。


機体が滑走路上で停止すると、先ほどの騒音が嘘のように消えた。書類が入っていたバッグとは別に服とかが入っているキャリーケースをもって、機体から降りる。

外に出ると、太陽のまぶしい光が容赦なく私を突き刺してきた。そのまぶしさの余り、私は一度目を閉じてしまう。

目の上に掌で影を作り、もう一度空を見上げるとそこには相変わらず太陽が輝いていた。

その光はまるで、私の輝かしい未来を表しているみたいだった。


―――――――――――――――――――――――――――


とりあえず荷ほどきは後にするとして、私は基地内のとある場所へと向かう。

向かった先には一枚の扉があった。なんだか少しボロイ気もするが…まぁ気のせいだろう。

表札、といったらいいのだろうか。なんて言ったらいいかわからないけど、扉にくっついている板には「第404特務小隊」と刻まれていた。

いま彼女たちは、この扉の向こうで何をしているのだろうか。優雅にティータイムとか?妄想に更けていると、思わずうへへへって気持ち悪い笑みが浮き出てしまった。いけないいけない…。両頬をぺし、と軽くたたき気持ち悪い笑顔をきれいな笑顔に修正する。


きれいな笑顔になった私は、扉を軽くノックしてからドアノブを握る。


「失礼します!」


私はそう元気な声で言いながら、輝かしい未来へと一歩踏み出した。

踏み出したのだが…


「てめぇ!もう一回いってみろ!」


「あら?随分とお耳が悪いんですね!そんなんだからあなたは試作モデルなんですわよ!」


「…(むしゃむしゃ)」


取っ組み合いの喧嘩をしている奴らと、それを無視してスナック菓子をほおばり続ける奴。そこにいたのは私が妄想していたのとは程遠い魔術人形たちだった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る