概要
“完全であることは、人であることを失うこと”
常夜の里に辿り着いた青年・鴉埜は、そこで奇妙な違和感を覚える。人々の動きは妙に揃い、静寂の中に不自然な調和が満ちていた。やがて彼は、里の背後にそびえる「山」が、人の“欠け”を埋める存在であることを知る。欠落を補い、完全へと導くその力は、同時に人間としての輪郭を奪っていくものだった。過去に山へ足を踏み入れた記憶を持つ鴉埜は、再びその深奥へと向かうが、境界はすでに失われていた。里と山は一体化し、人々は“欠けぬもの”へと変わり始める。抗うほどに削られていく自己。やがて鴉埜は、自らの存在すら曖昧にしていく中で、“完全であること”の本質に触れる。そこに残るのは、救済か、それとも――。
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