月面基地という閉ざされた世界を舞台にしながら、本作の本当の怖さは怪物でも兵器でもなく、「人間同士の信頼が少しずつ壊れていくこと」にあるのだと感じました。
最初は壮大なSFミステリーとして読み始めたはずなのに、気が付けば私は基地で働く一人ひとりの表情や言葉を追いかけていました。
特に印象的だったのは、登場人物たちが決して特別な英雄ではないことです。
研究者、技術者、管理者――それぞれが自分の仕事に誇りを持ち、誰かの役に立とうとしている。
だからこそ、疑念や不信が広がり始めたときの痛みが胸に刺さります。
また、静かに積み重ねられる違和感の演出が非常に巧みでした。
派手な戦闘や大きな事件よりも、「何かがおかしい」という感覚が少しずつ膨らんでいく過程に強い引力があります。
読み進めるほど、誰を信じればいいのか分からなくなる。
それなのに続きが気になってページをめくる手が止まらない。
(第一編 一気読みしてしまいました!)
月面基地ノアで本当に起きていることは何なのか。
その答えを見届けたくなる、骨太なSFサスペンスでした。
♩僕らが産まれて来るずっとずっと前にはもう〜、とポルノグラフィティが歌ってましたが、この間の探査機が月を回って帰って来るのを見て、50年前の子供の頃のアポロ月面着陸はウソだと確信しましたね。
それはさておき、本作はその月面にノアという基地が出来て、そこで起きる人間同士の確執や葛藤、最新AIとの闘いなどを描く、壮大なSF。
SF小説って、専門用語が出てきたり、カタカナや漢字が多くて読みづらくなりがちですが、これはそんなことありません。作者様が工夫しているのでしょう。
「2001年宇宙の旅」「エイリアン」「ゼログラビティ」などが好きな方はきっとハマります。これはぜひ映像で見てみたい。Netflixでの連続ドラマ化を熱望します❗️